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平成20年第 1回定例会-03月04日-06号
平成20年第 1回定例会−03月04日-06号

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  1. 熊本市議会 2008-03-04
    平成20年第 1回定例会-03月04日-06号


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    最終取得日: 2022-11-22
    平成20年第 1回定例会-03月04日-06号平成20年第 1回定例会   平成20年3月4日(火曜) ┌─────────────────────────────────────┐ │ 議 事 日 程 第6号                         │ │ 平成20年3月4日(火曜)午前10時開議                │ │ 第  1 質問                             │ └─────────────────────────────────────┘                              午前10時01分 開議 ○牛嶋弘 議長  ただいまより本日の会議を開きます。       ─────────────────────────── ○牛嶋弘 議長  日程第1「質問」を行います。  順次発言を許します。齊藤聰議員。          〔20番 齊藤聰議員 登壇 拍手〕 ◆齊藤聰 議員  おはようございます。自由民主党熊本市議団の齊藤でございます。本日はこれまでの政治活動の中で感じたことを、最近の社会情勢を踏まえた上で一部内容として重複することもありますが、質問をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、総合計画についてであります。本市では現在、まちづくり戦略計画が終了する平成20年度にあわせて総合計画の見直しを行い、平成21年度より新しいまちづくりを実施するため、第6次の総合計画を策定する作業を進めておられます。その中で、1.市民の参画と協働によるまちづくりの推進、2.九州を視野に入れた施策展開と政令指定都市実現への対応、3.効率的効果的で透明性の高い行政運営の実現を基本的な方針としておられます。そこで、これに関連して以下、お尋ねをいたします。  まず、合併・政令市の問題です。この問題は、執行部の皆様の御努力により、今大きく動いております。御案内のように、富合町とは本年10月6日の合併が決定し、城南町とは1月11日に合併に向けた任意協議会が設立されました。植木町や益城町とも本市との合併や政令市についての研究が進んでおります。このような中で、本市が合併をスムーズに進めていくためには、各町に対して町が持っている自然環境や産業特性を踏まえた、今後のまちづくりの青写真をお示しすることが必要不可欠であると思っております。  3町を見てみますと、例えば城南町、この町は自然環境に恵まれ、松橋インターチェンジや国道218号線があり、町には現在、県の城南工業団地が開設をされておりますが、企業誘致の観点から今後さらに発展の可能性があると思われます。  次に、植木町は農業や製造業が盛んですし、植木インターチェンジによる物流や、田原坂公園や植木温泉などを考えますと、さまざまな産業分野での発展が見込めます。  さらに、益城町はグランメッセやテクノポリスセンターなどがあり、本市との連携を深めれば町は一層の活性化が望めると思います。先日、益城町総合体育館で開かれました「“政令指定都市”熊本市の意義を考えるフォーラムIN益城」でも、合併して政令市になることで、町の開発と発展が可能となるとの発言が相次いでおりました。
     そこでお尋ねをいたします。本市では現在合併を想定されているこの3町に対して、今後どのようなまちづくりの青写真を示されるおつもりか、住民の方々に納得していただけて、町がさらなる発展をするようなプランをお示しください。  次に、政令指定都市移行への準備についてお尋ねをいたします。政令市になる前に少し気が早いと思われるかもしれませんが、本市の政令市移行は可能性としては4年後になります。つまり今後仮に合併がうまくいって、法律上の期限である2年間の間に、政令市の諸条件を満たしたとすれば、その後、政令市移行までに2年を要するとしましても、今からあと4年後には政令市へ移行するということになります。そして、本市が政令市になりますと、中核市のときと異なり区役所をつくったり、児童相談所を設けたりとさまざまな施策を展開する必要があります。  また、新潟市の篠田市長によれば、政令市への移行の前から、前倒し的に経済的に良好な動きが見られるということであります。例えば、企業立地が進んだり、商業施設がオープンしたり、また、マンション業者の参入やイベントの増加があったりしたということであります。  そこでお尋ねでありますが、本市は今から区役所や児童相談所など、法律上対応すべき制度について計画を練ると同時に、政令市移行の効果をねらった民間からの投資を誘い込むような、地場経済の浮揚策を実施していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。政令指定都市への移行準備について、現在どう取り組んでおられるのか、先ほどの合併に向けたまちづくりの青写真をあわせて2点、幸山市長へお尋ねをいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  それでは、齊藤議員からの合併による各町の将来像、青写真とおっしゃいましたが、将来像と政令指定都市移行への準備につきまして、それぞれお答えをさせていただきます。  ただいまお話がありましたとおり、本年10月6日に、おかげをもちまして富合町との合併が決定しているわけでありますが、さらに城南町、植木町及び益城町との任意協議会や研究会を開催しておりまして、その中で制度・事業の比較や、仮に合併した場合、住民サービスはどうなるのか、また、どのような町の将来像が描けるのかなどにつきまして、現在検討を進めているところであります。  お尋ねの1点目の町の将来像についてでございますが、先ほど議員がお話になったところと重複する点もございますが、城南町におきましては、城南工業団地を活用した自動車関連を初めとした企業誘致等による製造業の振興、あるいは松橋インターチェンジの話もございましたけれども、さらにスマートインターチェンジなど、道路網の整備、さらには塚原古墳にも代表されますように、歴史・文化の継承等によりまして、自然豊かな生活環境や都市基盤の整備等を図っていけるのではないかと考えております。  そして、植木町におきましては、現在「熊本市・植木町の政令市及び合併に関する研究会」、この報告書にもとりまとめておりますように、熊本都市圏の北の玄関口でありますことから、歴史的につながりのある田原坂公園と熊本城を結ぶ新たな観光ルートの設定でございますとか、さらには植木温泉街の活性化、そして全国的にも有名なスイカを初めとした農業の振興や、町の核ともなります中心市街地の整備等も重要な課題であろうと考えております。  そして、益城町におきましては、豊かな水資源などの自然環境のもとでの農業や、ハイテク企業等の工業の振興を初めといたしまして、空港やインターチェンジといった九州中央の空と陸の玄関という立地環境を生かした物流拠点の形成、さらには滞在型コンベンションの振興など、県内はもとより九州の人や物が集まる交流拠点として発展すべき地域であろうと考えております。  いずれにいたしましても、各町それぞれの将来像につきましては、お互いが相集います協議の中におきまして十分検討し、そしてただいま申し上げましたようなことを、具体的な形で住民の皆様方にお示しをしてまいることが重要であろうかと考えております。そのことが合併、ひいては政令指定都市の実現に向けた機運の醸成にもつながるものと存じますので、今後さらにその検討を深めてまいりたいと考えております。  次に、お尋ねの政令指定都市移行への準備でありますが、県との権限移譲にかかる協議、協定の締結や、そして区制度導入に伴います区割の検討などを要し、さらにこれらを踏まえた上で国との協議が必要となってくるわけであります。現在のところ、昨年の3月に政令指定都市の実現に向けました事務レベルでの庁内検討会議を立ち上げまして、また、県との協議によりまして事務事業の洗い出しを進めているところであります。  さらに、本年度から職員の資質向上に向けまして、国の各省庁から職員を招きまして、政策リレーシンポジウムなどを開催しているところでもありますし、市の組織といたしましても、先日もお話をしたところでありますが、新年度から広域行政推進室政令指定都市推進室と名称を変更いたしまして、準備態勢を整えてまいりたいと考えております。  合併・政令指定都市移行を想定した場合の地域経済の浮揚策といたしましては、近隣自治体との合併による市域の拡大によりまして、新たに加わった資源を活用した観光や農業の振興などが考えられるわけですが、また、政令指定都市という都市イメージを最大限に生かした企業誘致が考えられます。この企業誘致をより有効に推進してまいりますためにも、他都市と同等以上の助成制度を整備しておく必要がございまして、今議会に熊本市企業立地促進条例の一部改正案を提案したところでございまして、新制度を積極的にPRし、より効果的な誘致活動を展開していきたいと考えております。今後とも合併・政令指定都市に向けた検討、協議に真摯に取り組みますとともに、政令指定都市移行に向けました準備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。          〔20番 齊藤聰議員 登壇〕 ◆齊藤聰 議員  これからの合併は相手方の町にとって、本市とともに政令指定都市になるという意味があります。それは本市にとっても町にとっても未知の世界でありますが、ここは本市がきちっとリーダーシップをとって、本市の目指す政令市はこういう都市の姿で、皆様方の町はこうなります、こうしますとお示しする必要があります。3町の方々の納得がいくように御努力をいただきますよう、市長初め執行部の方々にお願いをいたします。  また、政令市への移行準備につきましては、これからという感もありますが、区役所など法律上の制度導入だけではなく、先ほど申し上げましたように、民間投資を誘い込むような地場経済の浮揚策にも御配慮をいただきますように、くれぐれもお願いいたします。  続きまして、アジアとの交流についてお尋ねいたします。前回の平成17年12月に、私は市長に対して、東アジアに対してどのような都市戦略をとるのかとただしましたが、これに対して市長は、アジアに対しての都市戦略の基本方針として、九州の各都市の連携と役割分担のもとに、熊本都市圏の強みを生かした交流を展開したい旨お述べになられました。その後もアジアとの交流については、昨年の6月議会で、広く東アジアを視野に入れた九州中央の一大交流拠点都市の形成などと大変意欲的な御答弁をしておらます。市長のお考えは心強く、頼もしく感じます。ただ、この分野でも都市間競争には厳しいものがあります。九州では福岡市がアジアとの交流を一歩も二歩もリードをしております。全国の都市が新興アジア諸国との交流を望んでおります。  このような中で、私は、本市は分野ごとに戦略を立てて、具体的な行動に移ることが必要と思います。例えば、観光分野では韓国からのお客様を2割ふやすなどという目標を立てて、そのためにこの企画を売り込むとか、農水産分野では香港をターゲットにミカンを何トン売り込むとか、分野ごとに、商品やサービスごとに、あるいは対象の国や地域、都市ごとに民間や他都市との連携もしながら、時間を区切った総合的な計画をつくるべきと思います。そして、その戦略に沿って投資をしていくべきと思っております。  そこでお尋ねでありますが、前回の質問から2年3カ月がたちました。本市ではその後、全庁的な具体的な総合計画を策定なさったのか、つまり何を目標に具体的にどうお進めになっておられるのかをお聞きいたします。  また、市長は昨年秋、韓国の蔚山市を訪問されましたが、蔚山市を東アジアにおける本市の今後の都市間交流の中で、どのように位置づけておられるのか。そして、その位置づけの中で蔚山市とは今後何を目的に、どのような交流を行われるのでしょうか。例えば、観光分野に特化されるのか、あるいは日韓のこれまでの歴史を踏まえ、青少年の異文化理解交流を中心にされるのかなど具体的な交流メニューがあれば、あわせてお示しをいただきたいと思います。  さらに、韓国では釜山市、中国では上海市、大連市、台湾では台北市など発展するアジアの諸都市がありますが、これらの都市とどのような交流を行うつもりかお尋ねをいたします。  次に、アジアとの交流を考える際に不可欠なことは、交通インフラの整備であります。この観点からお尋ねをいたします。  まず、熊本港であります。国全体として公共事業が削減される中ではありますが、本市は港の整備を促進して港町熊本をつくらなければなりません。世界的に見ても港の背後地に100万人もの人が住んでいて、発展していない港はないのではないでしょうか。そこでお尋ねいたしますが、現在の熊本港の利活用状況と、今後の港を生かしたまちづくりについてお考えをお聞かせください。  次に、空港であります。熊本には国際空港があり、現在ソウル便が週3回、月・木・土に飛んでおります。今後の交流を考えますと、上海便とか北京便、あるいは台北便などもほしいところであります。最近は重さの軽いIC部品などだけではなく、野菜や果物も新鮮さを保つために航空便を利用すると聞いております。旅客便だけではなく国際貨物便なども誘致の対象になり得るように思います。もちろん採算性などを考えますと、大変厳しい問題であり、また管轄が熊本県という問題もありますが、利用者が熊本市並びに熊本都市圏の皆様であることを考えますと、本市でも関係機関と協力して国際線の維持拡大に取り組むべきではないでしょうか。市長の御所見をお伺いいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  アジア戦略ということで何点かお尋ねがございましたので、順次お答えをさせていただきます。  まず、アジアとの交流についての具体的な計画などを策定し、目標等を定めて取り組んでいるのかとのお尋ねであります。これまでも申し上げてまいりましたように、私は本市の目指すべき将来の方向として、広くアジアを視野に入れ、九州の一体的な発展の一翼を担う、九州中央の一大交流拠点都市を形成していかなければならないと考えているところであります。  そこで、アジアに向けた交流促進につきましては、本市と30年近い交流の歴史を持ちます、中国桂林市でありますとか、あるいは先ほど御紹介がございました民間レベルでの交流が長く続いております韓国蔚山広域市などとの都市間交流、さらには、本市と福岡市、鹿児島市で構成いたします九州縦断県観光ルート協議会における上海や大連など、アジアを中心とした観光客誘致活動の展開などに現在取り組んでいるところであります。  また、昨年12月には、熊本都市圏ビジョンに基づきまして、都市圏の特性であります食品関連産業の集積を生かし、地場産品の付加価値を高め、国内はもとよりアジアなどへの販路拡大に向けまして、関連企業や学識者などからなります熊本都市圏フードブランド開発販売戦略研究会を立ち上げたところであります。さらに、今月の11日から14日にかけてでありますが、研究会の活動の一環といたしまして、幕張メッセで開催されますアジア環太平洋地域最大の食品・飲料専門展示会「フーデックス・ジャパン2008」に地元企業の参加を募りまして、熊本ブースの出展を行うことといたしております。  このような中、今後、本市がアジアを視野に入れた施策をさらに積極的かつ効果的に展開していくためには、御指摘もありますように体系的な戦略も必要ではないかと考えております。  今回の第6次総合計画基本構想案におきましては、重点的取り組みの一つであります出会いわくわくプロジェクトにおきまして、政令指定都市を実現し100万都市圏の拠点性向上を図るとともに、九州中央の交流拠点として、広くアジアを視野に九州の一体的な発展を牽引する一翼を担うことを掲げているところであります。そこで、今後このプロジェクトを推進してまいりますための具体的な戦略につきまして、基本計画等で示してまいりますとともに、その際には、可能な限り数値などによる具体的な達成目標を掲げたいと考えております。  次に、韓国蔚山広域市との今後の交流についてであります。これは先日鈴木議員にお答えを申し上げましたとおりでありますが、本市といたしましては、今後韓国蔚山広域市との間におきましては、先ほどお話いたしましたように、民間レベルでの長い交流の歴史がございますので、それを踏まえまして、観光を初め、市民主体で展開されております芸術、文化、青少年など、さまざまな分野での交流拡大に向けまして、具体的な協議を進めてまいりたいと存じます。  そして、今後のアジア地域との都市間交流についてであります。本市におきましては、これまでの交流の歴史から先ほども御紹介しましたが、中国桂林市、韓国蔚山広域市との都市間交流を展開してまいりますとともに、今後は広くアジアの諸都市と、それぞれの都市の特性に合った、多面的な交流を進めてまいりますことが重要であると考えております。  このような中、九州新幹線鹿児島ルートの開業を見据えまして、福岡市、鹿児島市との連携強化を現在模索しているところでありますが、その福岡市は中国広州市と、それから韓国の釜山市、そして鹿児島市は中国の長沙市など友好締結を結んでおりますし、九州の各都市はそれぞれにアジア地域の都市との間におきまして、都市間交流に取り組んでおられます。  そこで本市といたしましては、これらの九州各都市との連携の中におきまして、アジアの各都市との交流機会の拡充を図りますとともに、観光物産等の経済活動や、幅広い市民レベルの交流も促進し、アジア地域をターゲットとした多面的な交流へとつなげてまいりたいと考えております。  続きまして、熊本港と熊本国際空港の重要性についての御質問でありますが、まず、熊本港の利活用の状況と今後の港を生かしたまちづくりについてお答えをさせていただきます。  利活用状況でありますが、人の交流の面からは平成18年の本渡港間の高速旅客船及び島原港間のフェリーの利用者数は約97万人となっております。また、物流面で見てみますと、ポートセールス協議会におきまして、新規航路の開設を働きかけてきましたところ、平成18年に釜山経由上海航路が開設をされまして、その後一たん中断されましたが、本年の2月には新たに上海の南に位置いたします寧波までの航路を開設したところであります。このようなこともあり、平成18年の輸出入実績といたしましては、20フィートコンテナに換算いたしまして3,355個、金額ベースにいたしますと114億3,900万円となっておりまして、主な輸出入相手国といたしましては、中国、韓国などの東アジア地域となっております。  また、臨海用地につきましては、これまでに2団体が立地をしておりまして、現在リース制度を活用されまして、2社が契約、1社が内定している状況にございます。以上が現状でございます。  次に、熊本港を活かしたまちづくりについてでございますが、平成23年春の九州新幹線の全線開業に伴いまして、人々の行動範囲が広がりますとともに、地域間交流も活発になり、ますます都市間競争が激化することが予想されます。このような中、本市におきましては、これまで以上に九州の中央という地理的優位性を生かしてまいりますことが重要となっておりまして、熊本港には発展の著しい東アジアを中心とした海外貿易の拠点や、九州横軸の交通アクセスの拠点として、さらには広域的な観光ルートの拠点として、熊本経済の発展に寄与することが期待されているところであります。そのためにも熊本港の魅力向上、例えば港湾機能の拡充、新たな航路の新設を図ることが重要でありまして、管理者であります熊本県、さらには関係団体等と協議をしながら取り組んでまいりたいと考えております。  次に、熊本空港における国際線の維持拡大への取り組みについてお答えいたします。  東アジアとの交流をさらに促進してまいりますためには、海外との空の玄関口であります阿蘇くまもと空港の国際線の振興を図りますことが大変重要と認識をいたしております。このようなことから、本市では行政、経済、観光、運輸など関係機関で構成をいたします阿蘇くまもと空港国際線振興協議会に参加をいたしております。この協議会では、現在週3便運航しております熊本-ソウル線認知度向上のための各種PRや、スポーツ・文化交流、修学旅行等への助成等による需要の掘り起こし、また新たな路線開設に向けて、中国や台湾等の航空会社との情報交換を行っているところであります。  御案内のとおり、国際定期便としては現在熊本-ソウル線の運航のみでありますが、同線を利用いたしますと、韓国の仁川空港から中国、香港やシンガポールにも乗り継ぎ可能なことから、韓国を初め東アジアとの交流拡大や市民の利便性向上のため、できるだけ早期に現在の週3便から週5便への増便、さらに将来は毎日の運航となりますよう、県を初め関係機関と連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。  こうした熊本都市圏における重要な交通インフラであります熊本港や空港の機能を生かしまして、東アジアとの観光を初めとした人的交流や輸出入など、経済交流の拡大に努めてまいりますことで、九州中央の交流拠点都市を目指して取り組んでいきたいと考えております。          〔20番 齊藤聰議員 登壇〕 ◆齊藤聰 議員  ありがとうございました。いずれにいたしましても、アジアとの交流というものは、本気で真っ正面から取り組まないとできるものではないと思っております。市長は、今度の総合計画の中で取り組みたい旨述べられましたが、本当に市長の本気度が試されることになるのではないかなと思っております。若い幸山市長だからこそ、私どもも夢と希望を託したいと思います。  仮に、本市が政令市になれば、経済力も都市としての知名度も上がります。この機にぜひアジア交流推進検討委員会などを立ち上げて、執行部だけでなく、経済や文化、スポーツの関係者などからもお知恵を拝借して、総合的なプログラムを策定し、実行に移していただきますようお願いいたします。  次に、港や空港のことですが、インフラ整備の側面とともに、港につきましては地場経済の活性化という側面が見逃せません。その意味では若干道半ばという感があります。これからも整備や利活用を進め、地場経済の浮揚につなげるべきであると思います。  また、今申し上げましたアジアとの交流について、総合的なプログラムをつくることが、ひいては民間企業の利用を促進したり、国や県の予算の獲得をしたりすることにもつながるものと思います。ぜひ各施設の関連性を考えながら、国際的な都市づくりに御尽力いただきたいと思います。  続きまして、観光問題であります。ここでは、観光振興の原点に立ち返り、まず総論からお尋ねをいたします。  本市を取り巻く観光産業の特徴を見てみますと、まず、近年ではお客様の指向が健康や環境に向いていること、あるいは団塊の世代が増加していること、さらに中国人観光客の購買意欲が急激に向上していることなど、これまでにないさまざまな変化が見られます。  また、インフラ整備の観点から見てみますと、当然九州新幹線の全線開業への対応が挙げられます。既にJR九州とJR西日本は昨年秋に相互乗り入れに合意しており、これにより熊本-大阪間が3時間20分で直結することになり、関西方面からいかに集客、誘客するかが問われてまいります。  さらに、3点目として、本市と周辺町との連携による観光振興が求められております。冒頭で申しましたように、富合町や城南町、植木町、益城町、それぞれに観光資源があり、今後本市が合併・政令市へ移行していく上では、この都市圏連携は避けて通れない道であります。そこでお尋ねでありますが、今申し上げました観光産業を取り巻く環境を踏まえて、本市の観光振興施策は今後どのように構築していくおつもりでしょうか、総合的なビジョンはあるのでしょうか、お示しをいただきたいと思います。市長にお尋ねいたします。  次に、各論として3点お尋ねをいたします。  まず、熊本城であります。熊本城築城400年祭はことしの5月に終わりますが、国内外から大変な反響を呼び、大成功ではなかったかと思います。皆様方の御努力のたまものであります。また、一方で、本年のこの築城400年祭の成功は、お城をぜひとも復元したいという多くの皆様の今日までのたゆまない努力、熱い思いの結実でもあるといっても過言ではありません。その取り組みを振り返ってみますと、まず昭和35年に天守閣が再建されました。続いて平成元年には、数奇屋丸2階御広間の復元、平成5年には旧細川刑部邸が移築復元されております。そして平成9年度に各界各層の市民の皆様の提言や意見を踏まえて、熊本城復元整備計画が策定され、今回の本丸御殿を含む大復元事業となったものであります。  繰り返しになりますが、今回の築城400年祭の成功は、このように市民の皆様の長い間の努力のたまものであると思います。この件につきましては、昨日の北口議員の質問に対する市長の答弁、このような答弁でございました。「改めまして、この熊本城復元整備事業という一大事業を決断されました当時の市長、あるいは議会の皆様の御英断に対しまして、心から敬意を表させていただきたいと存じます。」ということであります。私その答弁を聞きまして、市長に心から感動、敬意を表したいと思います。  私どもは、多くの市民の皆様の思いがこもったこの熊本城を、今後もさらに生かしていかなければなりません。そこでお尋ねでありますが、現在、当初の復元計画の短期計画が完了間近でありますが、今後の熊本城復元はどうなさるおつもりでしょうか。次期の復元についてのお考えをお聞かせください。  次に、本市にはお城を初めさまざまな観光資源がある中で、それを生かす意味でもコンベンションの誘致が大切と思いますが、中でもスポーツコンベンションの振興を、今後ともまちづくり戦略の一つとすべきと思っております。これまでの主なスポーツコンベンションの誘致を振り返って見ますと、平成3年には第4回全国スポーツレクリエーション祭くまもと91が開かれ、選手団、役員の方々が約3万人、観戦者も約3万人が参加、平成5年には93ゆうあいピック熊本大会、平成9年には男子世界ハンドボール選手権大会、選手団役員の方々は24カ国から約5,000人が参加、観戦者29万人を数えております。  平成11年には、第54回国民体育大会が春と秋に開かれ、選手団・役員等で6万人、観戦者も25万人を超えております。同じく平成11年には、第35回全国身体障害者スポーツ大会、国際・全日本マスターズ陸上競技選手権熊本大会、平成13年には、全国高等学校総合体育大会、選手団・役員で約2万5,000人、観戦者が約35万人。同じく平成13年には、NHK杯国際フィギュアスケート競技大会が、15カ国、55名の選手の参加で4日間の総入場者約1万5,000人、その模様は熊本から世界各国に発信をされました。平成14年には、日本・韓国・中国交流競技会熊本大会、そして、平成18年には、世界女性スポーツ会議、74カ国、約700名の参加があっております。  このように、本市では全国大会や国際大会、あるいは成人だけでなく高校生や第一線を退かれたマスターズの大会、健常者だけでなく障がい者の方々の大会、実際の競技会だけではなくスポーツ振興にかかる関係者の会議など、スポーツに関してさまざまなコンベンションが誘致されております。21世紀は御案内のように、交通機関やマスメディアの発達などでスポーツはますます盛んになると思います。各種スポーツ施設を擁する本市として、ぜひともこの分野に力を入れるべきと考えます。  そこでお尋ねでありますが、この分野には今後どのように取り組むおつもりか、本年の誘致の進捗ぐあいや今後の対応策、コンベンション協会と社会体育課との組織上の役割分担についても、あわせてお聞かせください。教育長にお願いいたします。  最後に、本市の動植物園の活性化策を御提案申し上げたいと思います。本市の動植物園は、総面積24ヘクタール、園内には約130種、1,100頭の動物と、約600種、4万本の植物が訪れる人の心をいやしてくれます。子ども虐待など昨今悲しい事件が相次ぐ中で、もっともっと多くの家族連れでにぎわうよう、さらに魅力的な動物園になってもらいたいと思います。  折しも現在、熊日新聞に現動植物園の初代園長であられました竹田氏の開園に向けた御苦労が、動物大移転物語として掲載をされております。今、この動物園では再編整備計画が進んでおり、園内をエントランスやサルエリア、チンパンジーエリア、サバンナの水辺エリアなどに区分し、これを5つの整備期間に分けて、総額20億円ほどで整備するとのことであります。このように既存の老朽化した施設を整備して、来園者が動物を観察しやすくしたり、あるいはまるで動物が自然の中で生息しているかのような演出をしたりすることは、本市の動植物園を魅力あるものとする上で、とても大事なことと思います。  その一方で、動植物園が持つ現在の資産を活用することもまた大切ではないかと思います。本市の動植物園には、現在駐車場が数カ所あり、毎年およそ15万台の利用があっております。他都市の例を見てみますと、多くの動物園で駐車場を有料化にしております。例えば、北九州市の到津の森公園では、平成14年から有料ですし、福岡市では10年前から有料であります。鹿児島市の平川動物公園に至っては、昭和47年から有料となっております。有料化している動物園では、値段は普通車で200円から800円まで差がありますし、駐車形態も機械式や有人、契約形態も一部直営や民間委託、指定管理者とさまざまですが、いずれも動物園の資産を活用したものと評価できると思います。  そこで提案でありますが、本市でも動植物園の駐車場を有料化して、その増収分を動植物園のさらなる魅力づくりに使われたらどうでしょうか。例えば、1台300円であれば、単純試算で年間4,500万円になります。財政状況が厳しい折、動植物園整備費の財源確保策として一つのアイディアではないかと思います。お考えをお聞かせください。  以上3点、経済振興局長と教育長にお尋ねをいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  ただいま観光問題について何点かお尋ねがございましたが、私の方からは総合観光ビジョンにつきましてお答えをさせていただきます。  御案内のとおりでありますが、熊本城築城400年祭の効果や、韓国を初めとする東アジアからの観光客の増加によりまして、平成18年の本市への観光客入り込み数並びに観光消費額は増加傾向にございます。  今後さらに、この流れを加速させてまいりますために、九州新幹線全線開業を、本市観光振興の絶好の機会ととらえまして、復元整備により魅力が増した熊本城を初め、本市の有する歴史、文化、自然などの豊かな観光資源をさらに活用し、国内はもとより海外、特に東アジアに向けまして、本市観光の魅力を積極的に発信し、知名度の向上に努め、なお一層の観光客誘致を図ってまいりたいと考えております。  具体的には、関西以西での観光客誘致に向けたテレビコマーシャルの活用や、熊本県人会と連携したPRを行いますなど、広報・宣伝を強化してまいります。東アジアでは、本市とゆかりのある韓国蔚山市を初め、主要都市での観光展出展や、中国、台湾に進出をしている企業と協力した現地での情報発信を行ってまいります。  さらに、復元した本丸御殿の活用や、築城400年祭の成果を生かした熊本城での新たなイベントを開催いたしますなど、にぎわいの創出に取り組みますほか、加藤・細川文化にスポットを当てた観光コースの整備など、観光資源の掘り起こしを行ってまいります。  また、観光振興におきまして、広域での連携は大変重要であると考えておりまして、それぞれの市町村には歴史、文化に根差した特色のある観光資源が点在しておりますことから、今後これらの観光資源を有機的に結びつけ、観光ルート化いたしますなど、都市圏域を含めた観光振興を図ってまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、魅力ある九州中央の交流拠点都市として成長してまいります上で、観光分野の果たす役割は極めて大きいものと考えておりまして、今後さらに重点的に取り組んでいきたいと考えております。          〔岡本安博経済振興局長 登壇〕 ◎岡本安博 経済振興局長  私からは熊本城と動植物園についてお答えいたします。  まず、熊本城の復元整備計画についてでございますが、今回の復元に当たりましては、平成9年度の計画策定から本丸御殿の完成に至るまで、先輩諸氏には文化庁を初め関係省庁の交渉などに多大なる御尽力をいただいたところでございます。また、全国的にも初めてである一口城主制度というユニークなアイデアが、市民はもとより国内外の多くの皆さんに大変な好評を博しまして、財源の面からも大きな貢献をいただいているところでございます。これらの御功績に対しまして心から敬意を表しますとともに、感謝申し上げる次第であります。  このたびの復元整備事業は、本丸御殿大広間が完成することで短期の復元計画は一応のめどを迎えることになります。なお、この平成9年度に作成の復元整備計画は、内容が広範かつ多岐にわたっておりまして、期間もおおむね30年から50年が見込まれますことから、中長期の計画策定につきましては、財政状況等を初めとしたさまざまな課題に対応しながら検討してまいりたいと考えております。  しかし、一方では既存建築物の中でも、行幸橋横にあります馬具櫓や、宇土櫓と天守閣を結んだ塀は老朽化が進んでおりますことから、早急に取り組む必要がありますので、平成20年度には馬具櫓の解体に着手することといたしております。  また、備前堀東側に位置する西櫓門とその周辺一帯につきましては、既に文化庁との協議も済んでおり、本来の木造による復元を行いたいと考えております。このほか国指定の重要文化財建造物を初めとする、その他の建造物や石垣につきましても老朽化が進み、補修や保存修理の時期を迎えているものもありますことから、今後は復元整備とともに既存建造物の維持補修の整備計画も策定し、関係機関と協議しながら実施してまいりたいと考えております。  次に、動植物園の駐車場の有料化についてお答えいたします。  議員御提案の駐車場の収入を整備経費の財源に当てるという方法は、今後園の魅力を高め、活性化を図っていく上で有効な手段であると考えております。現在、園の駐車場は7カ所に分散し、未舗装であったり、水路や樹木により分断されるなど、利便性に欠ける面も見られます。そこで有料化に向けましては、駐車場の統合や料金徴収の方法、交通渋滞など種々の課題を解消する必要がありますことから、今後、関係機関と実施に向けての協議を進めてまいりたいと考えております。          〔小牧幸治教育長 登壇〕 ◎小牧幸治 教育長  私の方からはスポーツコンベンションの誘致及びコンベンション協会と熊本市の役割分担についてのお尋ねにお答えをいたします。  スポーツコンベンションの開催は、経済的な波及効果が期待できるのはもとより、市民の皆様に大きな夢と感動を与え、スポーツへの関心を高めますとともに、競技力の向上にも貢献するなど生涯スポーツ振興の観点からも大変意義があり、積極的に誘致すべきものと考えております。  平成19年度の開催実績につきましては、国際的なものが6件、全国規模のものが13件、西日本規模のものが2件、九州規模のものが13件の合計34件、約1万5,350人の参加者となっております。この中には地元競技団体の格別な御協力によりまして、熊本城築城400年に合せまして誘致されたものも2件含んでいるところでございます。  また、平成18年5月の世界女性スポーツ会議を契機に、JOC日本オリンピック委員会とパートナー都市協定を締結しましたことから、先般JOCから、本市にドイツ水泳ナショナルチームが、北京オリンピック直前合宿地を探している旨の情報提供がありまして、最終的に韓国済州島の都市と競った結果、本市への誘致が実現したところでございます。  今後の対応策についてでございますが、平成23年春の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業を控えまして、また政令市実現を目指す本市にとりまして、スポーツコンベンションの誘致は、拠点性を高めるための重要な戦略の一つであるという認識をいたしております。本市といたしましては、厳しい都市間競争を勝ち抜くため、JOCや地元競技団体、国際観光コンベンション協会など関係団体とともに、積極的な誘致に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、本市と国際観光コンベンション協会との役割分担でございますが、九州大会規模以上のスポーツコンベンションに対しましては、本市では地元競技団体からの要望に基づきまして、会場の優先確保や大会の運営助成を行っており、また国際観光コンベンション協会の方では、宿泊のあっせんや助成を行うなど、双方で誘致に努めているところでございますが、さらに連携を強化してまいりたいと考えております。          〔20番 齊藤聰議員 登壇〕 ◆齊藤聰 議員  アジアとの交流でも申し上げましたが、熊本城やスポーツコンベンションなど分野を定めて、目標値を掲げて、具体策を定めて取り組まれたらいかがでしょうか。また、新たな観光資源の開発などにも、短期・中期と期間を決めて取り組むべきだと思います。スポーツコンベンションの誘致につきましては、大変御努力をいただいておりますが、今後は専門の組織を設けてやるべきではないでしょうか、そういう時代が来ているのではないかと思っております。  動植物園の駐車場の有料化については、検討するとのことでありますが、来園者の皆様の負担感の少ない額で、かつ動植物園の財政支援、お答えにもありましたけれども、これは特定財源的なものでございまして、ほかに持って行ってもらっては絶対に困るわけです。ですから、それをもって整備を早める、あるいはいい遊具を買い入れるというようなことでございますので、有料化が決まりましたならば、ほかのほうには絶対回さないという、今度は企画財政局長さんとのやりとりをせねばとも思っております。よろしくお願いいたします。  ところで、天守閣の再建に当時として巨額の寄附をされた松崎吉次郎さんは、「お城をつくれば旅館がにぎわい、肉屋、八百屋もにぎわい、県民皆が潤うじゃないか」とおっしゃったと伝えられております。私どもも松崎さんの郷土の発展にかけた思いを忘れず、また観光産業の波及効果を最大限に生かすよう努力していかなければなりません。今後とも、観光立市くまもとの推進に向けて御努力をお願いいたします。  次に、中心市街地活性化問題を取り上げたいと思います。  中心市街地の活性化につきましては、今議会でもいろいろと取り上げられておりますが、私は、本市が今後激化が予想される福岡や鹿児島との都市間競争に勝ち抜き、九州の中央の一大拠点都市として確固たる地位を築き上げていくために、大変重要な課題であることは異論がないところであると思っております。  このような中、本市では昨年5月に、国から中心市街地活性化基本計画の認定を受けています。これは九州新幹線鹿児島ルートの全線開業などを見据え、平成23年度までの5カ年を計画期間として、民間事業を含めた実効性のある46事業を位置づけたものであります。本市の場合、平成18年8月に施行された中心市街地の活性化に関する法律に基づき認定を受けたものであり、法律の施行から1年もたたない中で、商工会議所などと連携し、民間の再開発事業も辛島地区と桜町地区の2つを取り込むなど、計画策定に向け大変精力的な努力の跡が見られ、その意気込みを高く評価するものであります。  ところで、この計画を見てみますと、3つの目標が掲げられております。①人々が活発に交流しにぎわうまち、②城下町の魅力あふれるまち、③だれもが気軽に訪れることができるまち、であります。これはこれでよいのですが、ここで指摘をさせていただきたい点が1つあります。それは、この目標を実現するための、目指すべき中心市街地の将来の絵姿が明確に描ききっていないような気がする点であります。確かに、桜の馬場の整備・利活用などが掲載されておりますが、市が主体となる事業としましては、これ以外に目玉となる事業が立案されておらず、若干行政としての積極性に乏しいものになっているのではないかと、私には思われるわけであります。  この中心市街地活性化という課題は、古くから論じられているものでありまして、10年ほどさかのぼりますと、本市は平成10年1月に熊本城大通り公園なる構想を発表いたしております。これは目抜き通りの通町筋を歩行者天国として整備し、その下には総延長2キロからなる地下環状道路、これは水道町からずっと電車通りを回りまして、銀座通りを巡って大甲橋の際に戻っていくという構想でございます。21世紀初頭をにらんだ中心市街地の長期的な活性化対策の柱としております。  この構想につきまして、本市はその後、学識者や国、県の関係者を入れた研究会を立ち上げ、平成15年には「市電を活用したトランジットモールの社会実験の検討が必要である」との提言を受けております。トランジットモールの実現には、当然、交通問題や商店街の営業の問題など、さまざまな課題を解決する必要があり、提言で言われているように、社会実験が必要であると思われます。先日の市長の御答弁の中にもありましたが、ヨーロッパなどではどの都市にも見られるものであり、決して全く不可能というものでもないと思われます。  そこで提案でありますが、現在取り組んでおられる中心市街地活性化基本計画に加えて、通町のトランジットモール構想も検討されたらいかがでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。  さらに、もう一点、市として積極的に取り組んでいただきたいと思うものがあります。それは花畑地区の民間再開発事業で計画されている劇場に対する支援であります。
     この地区では、民間事業者の方が熊本の芸術、文化の伝統となるような劇場建設を思い描かれておられます。私も例えば、博多座のような施設があるのとないのとでは、やはり都市としてのステータスが大きく違ってくると感じており、本市が政令指定都市の仲間入りを果たす上でも、シンボル的な意味合いがあるように思います。  ここで将来の姿を描いてみますと、本丸御殿が本市の迎賓館として国内外のお客様をおもてなしし、市民会館や国際交流会館では、全国あるいは国際規模のコンベンションが開催され、民間劇場では日本を代表する演劇、ミュージカルなどが定期的に催されている。このような将来の絵姿が実現すれば、まさに世界に通じる観光立市くまもとと胸を張って言えるように思いますが、いかがでしょうか。  しかしながら、民間による劇場経営は非常に難しく、国内でも成功している例はほんのわずかであると聞いております。博多座の例では、株式会社博多座が運営していますが、建設したのは福岡市でありますし、この会社にも出資し、職員までも派遣するなど、運営面でも積極的に参画しているのが現状であります。本市では、建設から運営まで民間で行うとのことでありますが、将来を考えると不安が残ります。  そこでお尋ねでありますが、この民間劇場が持つ公的な機能、つまり市のイメージ向上に資することや、交流人口の増大に大きく寄与することを考え合せると、将来の劇場運営についても、行政としてできる限り積極的に支援していくべきと考えますが、いかがでしょうか。市民生活局長にお尋ねをいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  中心市街地の活性化に関連いたしまして、私の方から通町筋でのトランジットモール構想につきましてお答えをさせていただきます。  トランジットモールにつきましては、これまで申し述べてまいりましたように、市電という環境に優しい公共交通を活用した中心市街地のにぎわいづくりにとって有効な手段の一つでございまして、ひいてはお城を望む都心の魅力空間として、本市を全国にアピールできるものであると、私自身も強い思いを抱いております。  通町筋でのトランジットモール構想につきましては、先ほど御紹介もあったところでありますが、平成10年の熊本城大通り公園構想に始まりまして、最終的にはお城の見えるよか通り協議会によりまして、交通問題など解決すべき課題はあるものの、社会実験に向けた検討が必要であるという提言をいただいたところであります。  そうした中、全国の例を見てみますと、路面電車を活用して3週間にわたり社会実験をされました、姉妹都市でもあります福井市などの事例があるわけでありますが、その場合、周囲に代替道路が整備されておりますなど、実験に向け条件が整っていたと伺っております。  しかしながら、本市におきましては1日に約3万台という交通車両をいかにさばくかといった交通処理の問題や、関係機関の御理解、さらには地元商店街等の営業上の問題などから、今日まで社会実験が実施できなかった現状があります。このようなことから、トランジットモール構想につきましては、現下におきましては、法律も含め非常に困難であるとの認識ではありますが、今後中心市街地における交通に関し、将来のまちづくりや活性化の視点を踏まえた交通ビジョンを策定いたします際に、こうしたトランジットモールが持つにぎわいや、人に優しい空間の創出といった観点を生かし、検討してまいりたいと考えているところであります。          〔原幸代子市民生活局長 登壇〕 ◎原幸代子 市民生活局長  私からは、花畑地区の民間再開発事業で計画されております、将来の劇場運営に対する行政としての支援についてお答えいたします。  先ほど御紹介いただきましたとおり、この施設は平成19年5月、国の認定を受けました熊本市中心市街地活性化基本計画におきまして、中心市街地の核としての機能を備え、にぎわい空間創出等、市の再生を促進する事業であって、中心市街地全体の活性化に必要であると位置づけられている事業に含まれる施設の1つでございます。この施設の概要や、その運営方法等、現時点では十分に承知いたしておりませんが、本格的な劇場の運営には経営面では厳しいものがあると思われます。  一方、本市に本格的な劇場ができることにつきましては、舞台芸術関係者はもちろんのこと、多くの市民の皆さんがその実現を待ち望んでおられるというお話をたびたび聞いておりますし、私どもも本市の文化芸術の振興に大きく寄与するものと期待をいたしているところでございます。そのようなことから、お尋ねの劇場運営につきましても、市民や企業がみんなで支援できる仕組みづくりなど、行政として可能な支援策について検討してまいりたいと考えております。          〔20番 齊藤聰議員 登壇〕 ◆齊藤聰 議員  中心市街地が持つ歴史、文化、都市機能を最大限に生かすために、原点に返り、本市の役割は現状のままでいいのかという問題意識から論じてみました。トランジットモールの実現につきましては、若干市長も悩んでおられるというような印象を受けた答弁でした。  繰り返しになりますが、交通問題や商店街の営業の問題などさまざまな課題を解決する必要がありますが、ただ中心市街地を歩行者優先にする、人に優しいまちにするという基本的な考えを持つべきである以上は、避けては通れない課題であるとも思われます。ぜひみんなの夢として実現に向けて御検討いただきますようお願いを申し上げておきます。  劇場につきましては行政として可能な支援をするということでありますが、確かに直ちにどうこうするという答弁はしにくいことと思っております。ただ御留意いただきたいことは、再開発事業が完了してからでは時期を失するのではないかということであります。民間事業者に劇場建設の動きがあるから見守るのではなく、こちらから市民協働のプログラムとして、本市の都市づくりに取り組むという積極性や、戦略性があるべきと思いますが、いかがでしょうか。御検討をお続けいただけますようお願いいたします。  続いて、中心市街地活性化基本計画の熊本駅周辺地区についてお尋ねいたします。  この地区つきましては、①にぎわいのある空間形成と他地区との回遊性の促進、②情報発信拠点・交流拠点としての利便性が高く、魅力ある都市空間の創出、③歴史性を感じさせるアメニティ空間の整備と居住環境の整備、④交通機関の結節機能の向上、という4つの整備方針を掲げられているところであります。もちろんどれもしっかりと進めていただきたいところでありますが、今回は特に他地区との回遊性や、交通結節機能の向上という観点から、市電のJR熊本駅舎への乗り入れについてお尋ねいたします。  平成17年6月に県市で策定した熊本駅周辺地域整備基本計画では、市電の駅舎乗り入れは物理的に困難とのことで、現在の電停位置を駅前広場に近づけるということでありました。ただ、その後、平成18年10月に開催されたトップ会議の中で、JR九州にも御参加いただいて再度検討した結果、乗り入れは可能ということになり、市長は昨年3月に開かれた2回目のトップ会議後の会見でも、引き続き課題の整理、検討を進めると発言をされております。  ご承知のとおり、新幹線開業時には現在の駅舎が残っており、東口駅前広場は手狭な暫定整備となるため、残念ながらこの市電の乗り入れが実現するのは、在来線の高架化完了後の平成30年ごろとなります。確かに、まだ10年近い猶予期間があり、新幹線開業時の人の流れなどを十分に検証しながら、駅前広場全体の交通機能の配置を検討することもできると思いますが、新幹線開業により、関西圏を初め全国各地から新たなお客様をお迎えするに当たり、県都の玄関口となる熊本駅であります。駅に降り立った人々をスムーズに熊本城など中心部にお連れすることは、大変重要な課題であり、その手段として市電は最も有効なものであることは疑いのないところであります。この問題には、市民の皆様も大きな関心を持っておられることと思いますので、本市としては早い段階で市電乗り入れ計画の具体案を示すべきではないかと思います。  そこで、昨年のトップ会議から1年が経過したところでありますが、市電が駅舎に乗り入れることについて、現在までの課題整理の状況と、今後の具体的な整備の方向性について、都市建設局長のお考えをお聞かせください。  中心市街地活性化と関連してもう1点お尋ねいたします。  前回、平成17年の市議会で私は、これからのまちづくりの一つの手法として、知的人材を引きつける仕組みづくりについて質問をさせていただきました。  このときの質問を要約しますと、「近年、世界は工業中心の経済から、知的想像力が中心的役割を果たす創造的な経済に移行している。その社会では、科学者や技術者、起業家、芸術家、音楽家、デザイナーなどの知的労働者が経済を支えることになる。そして、彼らは住みたいところで仕事を探す傾向にあるので、水と緑の住環境に恵まれ、熊本城を擁し歴史的な本市では、知的人材を引きつけるまちづくりが可能であり、ぜひこうしたまちづくりをすべきではないか」ということであります。  折しも、昨年5月には地元の経済団体、熊本産業貿易振興協会もまた、熊本市を知的総合力の高い学生や研究者が集まるまちとして成長させる、独自のまちづくり戦略「クリエイティブ・シティ(知財都市)熊本」を提言され、私と同様、知的労働者の育成や誘致に着目しておられます。私は、今回のこの中心市街地の活性化を考える上でも、ぜひこの知的人材を引きつけるまちづくりを一つの方針に据えて行うべきだと考えるわけであります。  ところで、前回の私の質問に対して市長は、「私自身知的人材を引きつける仕組みづくりが、地域経済の活性化につながるという御指摘には大いに賛同するところ」として、「18年度に予定している熊本都市圏の将来を展望する調査の中において、知的労働の実態等についても調査研究を行い、調査結果や本市の特性を踏まえて人材や産業の育成、誘致に取り組んでまいりたい」との御答弁をしておられますが、あれから2年たちますが、どのように取り組んでおられるのでしょうか。特に、中心市街地活性化と知的人材を引きつけるまちづくりにつきまして、市長にお尋ねいたします。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  質問の順番と前後いたしますが、私の方から中心市街地活性化の中での知的人材を引きつける仕組みづくりにつきましてお答えをさせていただきます。  中心市街地ではございませんが、平成18年度に策定をいたしました熊本都市圏ビジョンにおきましても、その基本戦略の一つとして、内外の知恵が集まる教育文化機能の充実を掲げ、その中で大学等との連携を進め、産業振興のための人材育成を図ることといたしております。そして、具体的な事業といたしましては、例えば南熊本のくまもと大学連携インキュベータ入居者への支援、新製品、新技術研究開発に対する助成、産学連携支援事業、さらには中小企業経営サポートプラザによる経営支援等を実施してきたところでございますが、今後もより一層、人材や産業の育成に取り組んでまいりたいと考えております。  また、知的人材を引きつけるためには、企業誘致も大変有効な手段の一つでございまして、そのため平成18年4月には企業立地促進条例を改正いたしますとともに、今後、より効果的な企業誘致活動を行いますため、今議会におきまして企業立地促進条例のさらなる一部改正を提案させていただいているところでもあります。  次に、中心市街地活性化と知的人材を引きつけるまちづくりについてでありますが、例えば、上通り並木坂に熊本大学工学部のサテライト教室といたしましてまちなか工房ができて以来、地元商店街の研究をすることによりまして、まちづくりに興味のある学生のモチベーションが高まり、積極的にまちづくり活動にも参加をいただいているところであります。このような活動をきっかけといたしまして、学生たちが市内、県内に残ることになるのではと期待をしているところであります。  さらに、科学者や技術者、起業家、芸術家等の知的人材を引きつけ、育成するような独自のまちづくりを進めてまいりますことは、都市の活性化を図ります上で大切なことと認識をいたしておりまして、今後もさらに検討を続けさせていただきたいと考えております。          〔松本富士男都市建設局長 登壇〕 ◎松本富士男 都市建設局長  私からは、市電の熊本駅舎乗り入れについてお答えいたします。  市電のJR熊本駅舎への乗り入れにつきましては、鉄道との乗りかえ利便性の向上のみならず、熊本駅と都心部との結節向上による中心市街地の活性化や、新しい熊本駅を全国に発信するPR効果も期待できるなど、路面電車を生かした熊本らしいまちづくりに大いに寄与するものと考えております。  議員御案内のトップ会議におきまして、高架下の電停の位置や、駅前広場への引き込みルートが決まるとともに、これに伴う市電の運行管理上の問題などについても、交通事業者との協議の中でおおむね整理ができたところでございます。現在、市電の駅舎乗り入れに伴い、見直しが必要となる駅前広場内のバス、タクシーなどの施設配置と、それに伴う交通処理ついて関係機関の意見を伺いながら検討しているところであります。  また、実施に際し最も重要な課題である歩行者や自転車などの安全性確保につきましも、法的な取り扱いも含めさまざまな観点からの検討を進めております。今後も引き続きバス網再編などによる都市交通の整理のあり方や、新幹線開業後の交通動向など、熊本駅周辺を取り巻く交通環境の変化なども十分見きわめながら、市電の駅舎乗り入れ実現に向け取り組んでまいります。          〔20番 齊藤聰議員 登壇〕 ◆齊藤聰 議員  知的人材を引きつける仕組みづくりについてでありますが、ただいま市長から具体的な事例を含めて、これまでの取り組みを御紹介いただきました。  御案内のように、これは事柄としましては大変スケールの大きな問題であります。繰り返しになりますが、これは青色発光ダイオードやES細胞とはいかないまでも、知的な創造力を生かした企業が地元経済を牽引する、そんな地場経済になるように、まちづくりにおいて知的人材を引きつける仕掛けをしていくという構想であります。幸山市長におかれまして、個々の企業誘致ももちろん大切ですが、この壮大な構想の趣旨を御理解いただきまして、御尽力を賜りたいと思います。  市電の駅舎乗り入れにつきましては、ただいまの答弁で引き込みルートも決まり、運行管理上の問題などについても、交通事業者との協議の中でおおむね整備ができているとのこと、大変心強く感じました。まだまだ先のことですが、新幹線開業への対応の成否は、結局熊本駅で降り立つ人の利便性をどれだけ向上できるかと表裏一体と思います。バスやタクシー、一般車のことも含めまして便利になりますよう、今から十分な心配りをしていただきますようお願いいたします。  それでは、最後にその他として2点要望いたします。  まず、1点目は花畑公園の整備についてであります。これにつきましては、先日田尻善裕議員から、現状にかんがみるとリニューアルすべきではないかという質問があり、これに対して執行部からは、花畑地区の再開発に合せて再整備を検討する旨の御答弁がありました。実は私も前々からこの公園は再整備すべきと考える一人であります。そこで、一歩進めまして具体的に要望をさせていただきます。  それは、花畑公園のフラット化であります。と言いますのも、この前も出ておりましたけれども、全体的に1メーターぐらい高いところに公園ができているわけでございまして、電車通り側とくまもと阪神側が互いに全く望めない、通行もできない空間となっております。これはもうお述べになったとおりでございます。そこで、あの部分が全部両側の道路と一緒の高さになると、非常に行き来がしやすくなりますし、いろんなことで便利になるのではないかと思っております。  ただし、この間も話がありましたけれども、そこには市指定の天然記念物の大楠がございます。そしていろんな記念碑もございます。ですから、全体が実現がするとは思っておりませんけれども、少しでもできるなら、いろんな専門家の方、樹木医の方とかそういう方々とよく議論、調査をして、どこかできはしないかと思っております。ぜひ取り組んでいただきたいなと思っております。強く要望いたします。  2点目に、フードパルについての要望であります。フードパル熊本のとれたて市についてでありますが、御承知のとおり去る2月26日の早朝、火災が発生し全焼してしまうという不幸に見舞われました。そのとれたて市は、地元西里地区でとれた野菜や果物、また、それを材料としてつくった惣菜、弁当、お菓子などを販売しており、年々売り上げを伸ばし、平成18年度は2億円超の販売実績を上げておられると伺っております。現在は、隣接地に仮設テントを張り営業を続けておるとのことでありますが、面積的にも限られており、また、商品の管理などにも問題があるなど、出荷しておられる生産者から不安の声が上がっているのも事実であります。  食の安全安心が叫ばれている今日、市民の皆様に対し、安心できる地元農産物を日常的に提供できる直売所の整備は、大変重要なことであります。そこで、直売所について、今後地元からの陳情もあると思いますが、早急に再整備していただくことを強く要望いたします。  以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。本日は私が日ごろから接しております市民の皆様の声や、私の思いを少しでも届けることができたものと思っております。御答弁いただきました幸山市長を初め執行部の皆様、また長時間にわたり御清聴をいただきました議員各位、そして傍聴席の皆様に心より感謝を申し上げます。質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)       ─────────────────────────── ○牛嶋弘 議長  この際、議事の都合により休憩いたします。  午後2時に再開いたします。                              午前11時26分 休憩                              ───────────                              午後 2時01分 再開 ○牛嶋弘 議長  休憩前に引き続き会議を開きます。       ─────────────────────────── ○牛嶋弘 議長  質問を続行いたします。田辺正信議員。          〔36番 田辺正信議員 登壇 拍手〕 ◆田辺正信 議員  どうもお疲れさまでございます。  市民連合の田辺正信でございます。先輩議員初め同僚議員の皆様には、質問の機会を与えていただきましたことに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。  幸山市長のお話、いろいろ出ますけれども、幸山市長は「日本一住みやすく、暮らしやすいまちの実現」ということでありますけれども、私はこれまで17年間、人に、まちに、自然に優しいまちづくりと、こういうことで活動を進めてまいりました。そういったことを念頭におきながら、今回は質問をしてまいりたいと思います。どうか幸山市長を初め執行部の皆様方、だれが聞いてもわかりやすい、そのような答弁をお願いしたいと思います。  それでは、質問通告を一部変更いたしまして、早速質問に入りたいと思います。  まず、幸山市政2期目のまちづくりについてお尋ねをいたします。私は、前回の質問の最後に、市政改革に自信を持って取り組みを進めていただきたいと幸山市長に申し上げてありますが、そういう意味からも新年度は目標年次ということなりますし、これまで5年間の締めくくりの年となります。そのようなことから率直に現時点での市長の思いをお聞かせいただきたいと思います。  幸山市長が、市長就任時に述べられた市政運営の基本的な考え方は、「情報公開と市民参加による信頼される市政の実現」、「日本一住みやすく、暮らしやすいまちの実現」、さらには「都市機能の充実した活気あふれる政令指定都市の実現」という、3つの柱でありました。  改めてその中身を振り返ってみますと、まず1つ目の「情報公開と市民参加による信頼される市政の実現」については、職員の意識改革と市民との緊張感あるパートナーシップの確立ということでありました。  2つ目の「日本一住みやすく、暮らしやすいまちの実現」については、豊かな自然環境を次世代に引き継ぐこと、将来を担う子供たちのためのゆとりある教育環境の実現、子育てしやすい環境づくり、高齢者、障がい者が地域の一員として暮らし続けられる支援策などの取り組みということでありました。  3つ目の「都市機能の充実した活気あふれる政令指定都市の実現」については、都市交通問題の解決に向けた市電やバスなどの公共交通網の再編、新幹線や熊本都市圏環状道路などのインフラ整備とあわせた、実現性の高いグランドデザインの策定などであったと思います。  そして、就任2年目の平成16年度には、これらを進めていくために、平成16年からの5年間、平成20年度を目標年次とするまちづくり戦略計画と、行財政改革推進計画を策定され、これに基づき本格的に幸山市政のまちづくりと行財政改革が進められてきたわけであります。  私は、まちづくり戦略に基づく選択と集中による戦略的なまちづくりは、市政改革で生み出された財源などにより、清冽な地下水や、豊かな緑と熊本城に代表される伝統ある歴史、文化などの特性を生かした、個性豊かな魅力あふれる九州中央の拠点都市づくりを着実に進めていくための、まさに戦略であったと評価をしております。  さて、来る平成20年度は、先ほど申し上げましたように、このまちづくり戦略計画の最終年度を迎えます。幸山市長はこの戦略期間の5年間をどのように評価をされているのか。また、最終年度である平成20年度予算をどのような思いで編成されたのかをお聞かせいただきたいと思います。          〔幸山政史市長 登壇〕 ◎幸山政史 市長  2期目のまちづくりということでお尋ねがございました。まちづくり戦略計画の最終年度を迎えるに当たり、これまでの実績と平成20年度の予算についてというお尋ねにつきまして、お答えをさせていただきます。5年間を振り返るわけでございますから、少々長くなりますことをお許しいただければと存じます。  改めまして、私は市民の皆さんとともに新しい熊本づくりを進めてまいりますためには、市民の皆様方と、そして行政に共通するまちづくり指針と、このまちづくりを支える体制づくりが不可欠であると考えまして、就任後、直ちにまちづくり戦略計画と行財政改革推進計画の策定に取り組んだところであります。  まちづくり戦略計画につきましては御承知のとおり、基本目標といたしまして、「自然と調和した市民が主役の活気あるくまもとの実現」を掲げまして、そして3つのターゲットも掲げ、各種施策を展開してきたところであります。  具体的に申し上げますと、まずターゲットの1つ目、「良好な環境を未来へと引き継ぐまち」でございますが、この中におきましては、白川中流域におきます水田湛水事業などの地下水の保全、バス網再編や市電の利便性向上など、公共交通機関の利用促進などに取り組んでまいりました。  さらに、ターゲットの2つ目、「子供たちが健やかに成長するまち」におきましては、地域の子育て支援センターや、待機児童の解消に向けた取り組みなど子育てしやすい環境づくり、そして少人数学級の導入や学びノート教室の開催など、個をはぐぐむ学校教育の推進に取り組んでまいりました。  ターゲットの3つ目、「人々が集う元気なまち」におきましては、東A地区市街地再開発事業などの熊本駅周辺整備や、熊本城築城400年祭の展開など取り組んでまいりました。これらの取り組みを通じまして、計画目標の達成に努めてきたところであります。  次に、行財政改革推進計画でございますが、ここにおきましては職員の意識改革や、組織風土の改革、財政健全化、民間委託の推進など、64の実施プログラムについて全庁を挙げて取り組んできているところであります。中でも財政健全化につきましては、就任当時は中核市の中で最低レベルでありました各種財政指標でございますが、現在におきましては、中核市の平均レベルに近いところまで改善しつつございまして、また財政調整基金は目標の100億円を達成いたしますなど、ほぼ順調に進んできている状況でございます。  加えまして、本市の最重要課題であります政令指定都市の実現につきましては、平成18年1月、近隣16の市町村とともに熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会を設置いたしまして、今後の熊本都市圏戦略の柱の一つに、政令指定都市の実現による拠点性の向上を掲げることにつきまして、認識を共有いたしたところでございます。そういった動きに加えまして、本年10月6日でございますが、富合町との合併が実現する運びとなりまして、さらに任意協議会が設置をされました城南町を初め、植木町、益城町におきましても、本市との合併、政令指定都市の実現に向けた検討がなされているところであります。  ただいま紹介をしてまいりましたのは、この5年のほんの一部ではございますけれども、これまで市政改革に向け、さらには新たな熊本づくりに向けまして、懸命に取り組んできた5年間でございました。これまでの取り組みを踏まえまして、来る平成20年度でございますが、まちづくり戦略計画の最終年度、総仕上げの年でもございまして、その目標の達成にさらに全力で取り組んでいきたいと考えております。  そこで、平成20年度予算についてでございますが、来るべき新年度は本市の将来の方向性を決定づける重要な年との認識のもとに、厳しい財政事情の中ではございましたが、選択と集中という観点から重点的に財源の配分を行ったところであります。具体的に、まちづくり戦略に掲げました3つのターゲットを中心に申し上げますと、新規事業が24事業で約4億6,000万円、また、拡充事業が16事業で、前年度予算額との差額の拡充額は約2億1,000万円となっております。  主なものといたしましては、ターゲットの1、環境でございますが、この中ではくまもと水ブランドや、ごみ減量・リサイクルの推進に向けた取り組み、さらには中心市街地交通ビジョン策定や、バス交通のあり方の検討など、公共交通機関の利用促進に向けた施策を展開してまいります。  次に、ターゲットの2つ目、子供でございますが、この中ではこども総合相談室や、こども発達支援センターの設置、妊婦・乳幼児健康診査の拡充など、安心して子育てができる環境づくり向けたさまざまな事業を行い、また、個をはぐくむ学校教育の推進として、中学校における少人数学級・少人数指導に関する検討委員会を設置することといたしております。  さらに、ターゲットの3つ目、元気なまちでありますが、熊本城築城400年と本丸御殿の落成にあわせまして、中心市街地のにぎわい創出を目指したさまざまな催し物を初め、今後の熊本城を中心とした魅力ある都心の形成を目指し、桜の馬場地区の整備や熊本駅都心間における民間と協働したまちづくりなどの推進、さらには動植物園、江津湖、水前寺の魅力向上にも取り組んでまいります。  加えまして、合併・政令指定都市実現に向けた施策につきましても、富合町との合併が円滑に進みますよう準備を進めますとともに、城南町との合併任意協議会を開催してまいります。  まちづくり戦略に基づくこれまでの取り組みや、あるいはその総仕上げとなります平成20年度予算について、るるお答えを申し上げてまいりました。その中で私といたしましては、日本一住みやすく暮らしやすいまちづくり、先ほども御紹介いただいたところでありますが、そこに向けましては今後特に公共交通網の整備が重要であると考えております。熊本市は現在におきましても、自然豊かで、そして利便性の高い都市機能を有する大変住みやすいまちであると思ってはおりますが、そのような中で大きな課題は、これまでも多くの人から指摘をされてまいりましたけれども、交通網の整備のおくれがあると考えております。  加えまして、今後少子高齢化がますます進展し、本格的に人口減少時代を迎えます中では、公共交通の利便性拡大が喫緊の課題であると認識をいたしております。そこで熊本市がリーダーシップを発揮し、市電などの鉄軌道を中心に効率的なバス網の再編について、関係者の連携のもとで早期に道筋をつけてまいります。  さらに、熊本市が九州中央の一大交流拠点都市として飛躍してまいりますためには、お城を中心とした新たな魅力と活力づくりと、情報発信力の強化が必要でございます。そこで中心市街地活性化基本計画に基づく中心市街地の再整備や、熊本ブランドの構築、あるいはシティセールスなどにも積極的に取り組んでまいります。  加えまして、これらの取り組みを進めますための原動力は、やはり熊本を愛する人であると考えております。そこで、熊本の未来を担う子供たちの成長を支える環境づくりや、互いに助け合う地域づくりなども着実に進めていく必要があろうかと考えております。そして、地方分権時代に対応し、自己決定と自己責任に基づく、独自のまちづくりを迅速かつ強力に推進してまいりますために、都市圏市町村の御協力をいただきながら、必ずや政令指定都市を実現したいと考えております。新しい熊本づくりにこれまで以上に全力を傾注していかなければならないと、決意を新たにしているところであります。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  幸山市長の方から、5年間の経過と、そして新年度に対する決意をお伺いいたしました。  私どもが、この5年間の事業を見ていまして、いろいろ盛りだくさんの事業ではありましたけれども、皆さん方も含めて一定の評価をされているところではないかと思います。その上に立って、この5年間を凝縮したと言っても過言ではない、そういったこれから先の熊本市の未来を決定づける1年間、それに今から取り組んでいかれるというわけでありますから、私どもを含めまして微力ながら支援をしていかなければならないと思っておりますし、そういう意味では幾ら健康な人間でも、健康に留意するにこしたことはありませんから、十分に健康に留意されて頑張っていただきたいと、このように思います。  続きまして,市政改革・行政改革についてお尋ねをいたします。  私は、先ほど申し上げましたように、これまでの市政改革・行政改革については、指定管理者制度など、今後精査をしなければならない問題も幾つかあろうかと思っておりますけれども、全体的には高く評価をしているところでもございます。現在、国、地方を通じた行財政改革が進む中で、事業や組織の見直しが行われてきたわけでありますが、本市においても皆様御承知のように、集中改革プランに基づき改革が進められてまいりました。  例えば、職員については平成22年4月までに、平成14年度に比べ300人近くを削減するということも一つの事業として出されているわけであります。私は事業や組織の見直しについては、一定のスパンを設定した上で、職場環境を十分考えながら取り組みを進めていくべきだと思っております。これまで技能労務職の職場を中心に民間委託が進められ人員削減が図られておりますが、各職場の将来を明確にすることなく、簡単にできるところから手がけられているような気がしてなりません。その結果として職場において不安感や、やる気を低下させ、市民サービスの低下にもなりかねない状況にあるのではないかと思うところであります。  私は、そのような状況を見るときに、現在の社会情勢や、その中での地方行政のあり方や市民へのサービス等はどうあるべきかを考えるとともに、各職場の役割、サービスのあり方、必要人員等を明確にするとともに、仮に人を削減する職場があるとすれば、その人員をどの職場に活用するかも検討するなど、将来を見据えた要員計画を策定すべきものと考えるものであります。  そこで、お尋ねをいたします。次の行革の定員計画について、どのように考えておられるのかお尋ねをいたします。          〔寺本敬司総務局長 登壇〕
    ◎寺本敬司 総務局長  新行財政改革における定員管理計画の考え方につきましてお答えをいたします。  現在の行財政改革推進計画におきまして、「民間でできることは民間で」を基本に、民間事業者の能力やノウハウを幅広く活用することといたしております。  公共サービスの外部化に当たりましては、「安定的なサービスの提供」、「良質なサービス提供とコスト削減、人員の効率化」、さらには「競争原理の確保による適正な市場調達が可能か」といった3つの観点から、十分な検討を行った上で民間委託等を推進しているところであり、これらの取り組みとあわせて各職場の定員配置を見直すなど、定員管理計画との整合性を図りながら進めているところであります。  現在、新行財政改革計画の策定作業を進めておりますが、今日の大変厳しい行政環境の中で、政令指定都市の実現を初めとする重要課題、また複雑化、高度化する行政ニーズに的確に対応していくためには、これからも民間活力を積極的に導入し、行政効率を高めていくことが重要であり、より安いコストで質の高いサービスを提供する市政の実現に向け、公共サービスの見直しや民間委託等の推進などについても検討しているところであります。  具体的には、聖域を設けることなくすべての事業や制度を対象に、その意義や目的を検証するとともに、事業の再編統合はもとより、必要に応じて廃止や民営化、民間譲渡、民間委託、またサービス水準や利用者負担のあり方などについても、検討を加えていきたいと考えております。  現在、各職場においてこのような観点で総点検に取り組んでいるところでありまして、今後はこれらをもとにサービスの質と量、そして提供手法や必要な人員体制等を検討し、目標年次における公共サービスのあり方も勘案しながら、新たな定員管理計画を定めてまいりたいと考えております。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  ただいま局長の方から御答弁があったわけでありますが、これも皆様御承知のとおり、この4年間の中で保育園の民間への委託、さらにはごみの収集の民間委託、さらには共同調理場の調理配送分の委託、または下水処理センターの運営の委託といろいろこれまで進められてまいりました。今後そういった部署について、これから基本構想、基本計画、実施計画ということで策定されていくわけでありますけれども、10年間を見通した上で、こういった事業にいかに取り組んでいくのか、先ほどの話ではありませんけれども、聖域はないということでもありますし、民間にお願いするところはお願いをすると、いろいろな意味の角度から、今後職場を見直してまいりたいということでありました。  私はそういった中で、具体的に数値を出しながら、そしてその数値をもとにしながら、先ほど申し上げましたように、職場の皆さん方にお示しし、そして職場環境等も十分考慮しなから取り組んでいくべきではないかと思っています。  例えば、ごみの収集そのものについては、現在20%を目途ということになっている。これが50%がいいのか60%がいいのかというのは、この場で判断できる問題ではございませんけれども、今後の熊本市における状況を考えて、例えば50%なら50%、60%なら60%という具体的なものをやっぱり指し示す必要があるのではないかなと、このように思っています。聖域がないということはタブーがないということでありますから、そういった中で熊本市全体の今後の行政運営に対応する職員の配置そのものを、効率のよい組織にするために考えていかなければならないのではないかと思っていますので、特にその点については申し上げておきたいと思います。  次に、安心して暮らせる地域環境の整備についてお尋ねをいたします。  本市では、少子高齢社会が進む中で、子供や高齢者、障がい者の生きがいのある暮らしを支援するための地域での体制づくりを、これまで進められて来られたわけでありますが、今回は特に平成2年に制定された熊本市民長寿社会憲章でもうたわれている、すべての人に安全で優しいまちづくりについてお尋ねをいたします。  今、本市においても高齢者の孤独死や孤立化、認知症高齢者の増加や徘回などの問題が深刻化しております。このような諸問題に対応するには、公的サービスの充実はもとより、地域住民がともに支え合い、助け合っていく福祉のまちづくりを進める必要があり、あわせて地域の各種団体や関係機関が有機的な連携を図り、地域住民が主体となった地域福祉活動の展開が可能となるような、地域の環境整備を急がなければならないのではないかと思うところであります。  このような中で、私の地元では、熊本市社会福祉協議会と校区福祉協議会が協力し、ふれあい・いきいきサロン活動が積極的に推進されております。このことを御紹介し、本市としての地域福祉の環境整備についてのお考えをお聞きいたしたいと思います。  川尻校区社会福祉協議会では、定期的に高齢者の方々が集える場所をつくり、おしゃべりを通した交流を行い、仲間づくりや元気づくり、生きがいづくりなどが図られております。さらには、障がいをお持ちの方々や、子育ての親子、地域の小学生、中学生も集い、世代間交流の機会にもなっているとのことでもあります。このふれあい・いきいきサロンは、現在、本市内の165カ所で実施され、地域コミュニティセンターや地域公民館、商店街の空き店舗、お寺など高齢者の方々が気軽に集まりやすい場所を会場として実施されているようであります。内容は参加者全員が楽しめるように、プログラムを工夫され、元気づくりのための健康体操なども盛り込まれ、介護予防の意識づけとしても大変効果的な活動とのことでありました。  最近では、自治会や老人会などの各種団体との連携も拡大し、地域一体となった取り組みから、地域コミュニティづくりへと広がりを見せているとのことでもありました。  現在、この活動に係る費用は、地域住民の寄附や会費といった善意で賄われているとのことでありました。ふれあい・いきいきサロン活動は公的サービスでは解決できない高齢者の不安や孤独、引きこもりといった心の問題を支援する機能として、すばらしい効果をもたらしているものと思われます。サロン活動が急速な広がりを見せているのは、地域での共生や連帯、気軽に相談できる人と人とのつながりの必要性を的確に示しているものであり、ともに支え合い、助け合う温かいまちづくりを推進する活動となっているからだと思われます。  そこでお尋ねをいたします。今、御紹介しましたように、熊本市社会福祉協議会と校区社会福祉協議会が協力し、福祉のまちづくりに向けた活動が推進されているわけでありますが、市としては地域での福祉環境の整備についてどのようにお考えになっているのか。また、地域福祉活動への財政面での支援も、当然のことながら検討していかなければならないものと思われます。2点について、関係局長にお尋ねをいたします。  引き続いて、市と熊本市社会福祉協議会との連携についてお尋ねをいたします。  私は、これまでもたびたび社会福祉協議会への対応について、もっと積極的に支援をしていくべきだとの立場からいろいろと申し上げてまいりました。子供から高齢者まで市民一人一人が住みなれた家庭や地域で、幸せに安心して暮らせるようなまちづくりの実現を目指すためには、これまで以上に社会福祉協議会と連携し、地域福祉活動を推進していくことではないかと思うわけであります。  社会福祉法第109条に、市町村社会福祉協議会は地域福祉の推進を図ることを目的とした団体であるとなっていますが、お聞きするところ現在プロパー職員は25名であり、本市の人口からすると地域、校区社会福祉協議会などへの対応を考えるときに、十分な組織体制とは言えない状況にあるといえます。しかも、地域福祉の担当者はわずか5名であるとお聞きしています。地域福祉の推進の重要性が高まる中、安定したプロパー職員の確保と、効率的な組織運営が必要であると考えられます。  私見ではありますが、例えば市民センターごとに社会福祉協議会の職員を配置し、地域に根差した活動を進めれば、地域住民を主体とした福祉のまちづくりも加速し、ともに支え合い、助け合う温かい都市、日本一暮らしやすく住みやすいまちづくりの実現にもつながるものと思うわけであります。  そこでお尋ねをいたします。市と熊本市社会福祉協議会が地域福祉活動の充実した活動を展開するためには、これまで以上に密接な連携が必要であると考えますが、地域への人の配置も含めお考えをお聞かせください。          〔谷口博通健康福祉局長 登壇〕 ◎谷口博通 健康福祉局長  福祉問題に関連して、地域環境整備、社会福祉協議会との連携について、順次お答えを申し上げます。  まず、安心して暮らせる地域環境整備につきまして、2点のお尋ねにお答えをいたします。  1点目の、地域での福祉環境整備につきましては、熊本市地域福祉計画によりまして、子供から高齢者まで障がいの有無や性別にかかわらず、すべての人が住みなれた地域でお互いに支え合い、助け合いながら、その人らしく充実した生活が安心して送れるような福祉のまちづくりを目指しているところでございます。  現在、その推進につきましては、社会福祉協議会を初めとした地域の関係組織、住民、ボランティア団体等と連携、協力しながら計画を進めており、今後とも地域での福祉環境整備に努めてまいりたいと考えております。          〔議長退席、副議長着席〕  2点目の地域福祉活動への財政支援についてでございますが、本市としましては、市社会福祉協議会に対しまして運営費等補助を行っているところであり、今後地域福祉活動にかかわる事業提案等があれば、検討してまいりたいと考えております。  次に、市と社会福祉協議会との連携についてでございますが、熊本市地域福祉計画に基づき、地域住民が主体となって福祉のまちづくりを進めるためには、地域の核となる組織間の連携はもちろんのこと、地域の実情に詳しい社会福祉協議会の役割が大変重要であると考えております。本年度は、市社会福祉協議会において、地域住民の福祉課題を把握し、その解決に向けて地域の方々とともに取り組むための地域福祉活動計画の策定が進められているところでございます。今後は、熊本市地域福祉計画及び社会福祉協議会の地域福祉活動計画に基づき、市と社会福祉協議会とが連携し、地域福祉活動を推進してまいりたいと考えております。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  今、少子高齢化社会が大きな問題になっていまして、ますますこの傾向は続いていくものだと思います。私の両親も83歳でありますが、83歳の母親が83歳の父親を介護するという、老老介護が当たり前の社会情勢になっているのではないかと思っています。  そういう中で、市としてもハード面についてはかなり進んでおりますし、また医療関係からの介護支援等も進んできているのではないかと思います。ただ最終的には地域での人と人との連携による、やはり安心して暮らせるようなまちづくりをどうつくっていくのか、そういうことに尽きるのではないかと。最終的には人と人とのつながりによって生活をしていくことが一番望ましい姿であろうかと思います。  そういう中で、社会福祉協議会の皆さん方、民生児童委員の皆さん方を中心としながら、本当に温かい支援体制をつくりながら、長く健康で過ごせるように努力をされていることについて御紹介をしたわけであります。  ただ、それにしてもやはり指導は必要でありますし、そういった指導的な役割を果たす熊本市社会福祉協議会そのものを、いかに充実をしていくのか。さらには地域への対応を、指導者的人づくりをいかにしていくかというのが、やはり一番大事なことではなかろうかと思うところであります。そういう点について、ぜひ今後御努力をいただきたいと思います。  次に、農業問題についてお尋ねをいたします。  今、中国ギョーザによる中毒問題が大きな社会問題になっていますが、ただ単に食料の危機管理の問題だけではなく、現在食料自給率が40%を割っている日本の食料事情を如実に物語る問題ともなっているわけであります。また、バイオ燃料の生産による穀物需要の急増、中国などの食料需要の増大、オーストラリアの干ばつによる不作による穀物相場の高騰や、原油高により輸入小麦価格が4月から30%の大幅な値上げになることから、関連業界は大変な状況になっています。一方では、国産小麦の自給率向上を求める声も、そのような状況の中で高まっているわけであります。  このような中で、私たち民主党はこれまで食料の国内生産の確保、農業者の経営安定、食料自給率の向上、地域社会の維持、活性化等の多面的機能の充実を目的とした農業者戸別所得補償法案にも見られるように、世界的に食料の供給が不足する事態が予想される中で、食料の国内生産の確保や自給率の向上及び農業者の経営の安定を図ろうと努力してきているところでございます。ただ、政府の対応は残念ながらそれにこたえるようなことになっていないのも事実でございます。  このような状況の中で、農業問題は食料の自給率や環境問題とも絡み、農業市でもある本市にとっても最重要課題の一つとなっているわけであります。  そこで、現在の本市の状況を見てみますと、農業生産は皆様御承知のように平成11年には、農業粗生産額は292億5,000万円で全国第6位、九州で第2位、県内で第1位、生産農業所得は146億7,000万円で、全国で第3位、九州、県内では第1位でありました。また、農家数は5,310戸で、農業就業人口は1万1,858人、経営耕地面積は7,337ヘクタールとなっておりました。これと平成17年度を比較して見ますと、農業産出額247億円で、45億円ほどの減額となっています。  そして、農家数は4,494戸で、816戸少なくなっているわけであります。また、農業就業人口が1万260人で598人の減少、経営耕地面積は6,546ヘクタールで791ヘクタール減少しているわけであります。平成11年度と平成17年度の数値は、市町村合併で市町村数が3,229から2,144になっていることから、単純に比較はできませんが、これまで7年間の間に、本市における農業環境はさらに厳しくなっていることがうかがえるわけであります。  そのような中で、市として都市化が進み、農地の転用等により生産面積が年々減少している傾向にある中で、平成9年に策定された熊本市農業振興計画や、第5次熊本市総合計画、さらにはそれに関する計画等に基づき、これまで経営の安定化、生産基盤の充実、新しい時代に対応した農業の振興など、都市農業としての環境整備が行われ、市民と共存する魅力ある農業の構築が図られてきたものと思われます。  そこでお尋ねをいたします。これまで農業振興地域整備計画、農とぴあ推進事業、農業経営基盤強化促進対策事業、環境に優しい農業推進事業等、財政状況が厳しい中、まちづくり戦略計画に基づいて事業が進められ、当初予算でも農業の振興を図るための予算が計上されていますが、農業生産基盤の整備、農業従事者の高齢化や後継者不足の対策としての担い手育成等の事業の現状と、今後の課題についてお伺いをいたします。  特に、南西部においては、過去農業公園の建設が計画されていましたが、計画が断念されるなど整備がおくれているのが現状であります。今後どのように計画的に整備されていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。  また、本市の周辺地域では、年々都市化が進み、農用地も虫食い状態になっていることは、皆さんも御承知のとおりであります。農振地域、農振地域外の見直しについても状況に応じて進め、農業振興地域への効率的な事業展開を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。  次に、食肉センターの問題についてお尋ねをいたします。  私は前回の質問でも、食肉センターの見直しについて当局のお考えをお聞きしましたが、昨年の12月に食肉センターを数年内に廃止する方針を固めたとの報道がなされていることもあり、再度お尋ねをいたします。  前回、食肉センターの抱えている問題を指摘しながら、センターで働く技術者の労働環境及び将来を考えた対応を求めたわけでありますが、岡本局長からは市民の安心安全な食料の提供、現場の方や関係者の今後の生活や経営安定のため、さらに協議、検討を進め結論を出したいとの答弁をいただきました。そこで、食肉センターを数年のうちに廃止するとの方針を固められたことについての御説明をいただきたいと思います。  また、雇用問題や技術の習得などの問題があるようでございます。生活不安などの問題が生じないよう、十分配慮が必要だと考えるわけでありますが、今後の対応についてお尋ねをいたします。          〔岡本安博経済振興局長 登壇〕 ◎岡本安博 経済振興局長  農業問題と食肉センターについてお答えします。  まず、農業問題について3点のお尋ねですが、第1点目の農業基盤の整備につきましては、現在、東西屋敷ほか2地区で整備を進めているところでありますが、本市の水田の整備率は県平均と比較してもまだ低い状況にあります。しかし、この基盤整備は農家の高齢化対策や農業経営の効率化を図る上でも必要な事業であると考えております。そこで整備ができていない地区につきましては、十分な説明を行い農家の理解が得られるよう努めてまいりたいと存じます。  また、議員におかれましては、南西部地区について基盤整備がおくれているのではないかとのお尋ねがあったところでございますが、当地区は本来、面的な整備が望ましいところですが、現状は水路のみの個別事業を実施しております。当地区につきましては、以前より事業実施の要望があっているところであり、今後とも引き続き事業推進に取り組んでまいります。  次に、2点目の担い手育成についてお答えします。現在本市におきましては、県、農協、農業委員会と連携した担い手育成総合支援協議会において、認定農業者の育成確保や、集落営農育成のための話し合いを行っているほか、新規就農者のための就農相談や、女性農業者も含めた多様な担い手の育成確保に努めているところでございます。  現在、国においては平成19年度から品目横断的経営安定対策を導入し、認定農業者と集落営農組織に限定した施策の集中化、重点化を図るなど、制度が大きく変わろうとしており、今後これに対応できる担い手の育成確保のほか、法人化の推進や経営診断など、農業経営の安定につながる支援の強化に努めてまいりたいと考えております。  3点目は、農業振興地域の農用地の見直しについてでございますが、この件に関しましては、いろいろなところから見直し要望をいただいているところでございます。そこで次回の見直しまでに地元の多くの意向を調査するとともに、社会的な環境の変化も踏まえ、関係機関と協議してまいりたいと思います。  続いて、食肉センターについてお答えいたします。食肉センターのあり方につきましては、当初、現施設の改造、現地での新築などの検討を続けてまいりましたが、平成18年度からは他の施設にと畜を受け入れていただくという方向に転換し、関係者と協議を重ねてきたところでございます。  その結果、馬については今後も県を含めた関係者と協議を進めることになり、牛・豚については熊本畜産流通センターへ受け入れていただくという方向で、協議を重ねることになりました。このようなことから、今後二、三年をめどに本市の食肉センターについては廃止という方針を固めたところでございます。なお、この方針については、これまでも利用業者や作業従事者の関係者に対して、必要な説明を行い、おおむね理解を得ているところでございます。  次に、お尋ねの作業従事者への対応でございますが、現在、雇用開発協議会及び卸売業者の委託作業員約60名の方々が業務に従事しておられます。廃止に伴う再雇用については、御指摘のとおり重要な問題であるととらえておりまして、今後生活不安が生じないよう十分配慮し、御意見と御要望を聞きながら、できるだけ多くの方が就労できるよう、新たな雇用先の確保や必要な技術取得を実施していくことといたしております。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  私も南西部地域に住んでおりますから、農業の状況、またいろんな問題についてもお聞きをいたしております。ことしの米の値段も1万円前後ではなかったかと思います。市からいただいた資料からしますと1万4,000円程度ということでありますけれども、等級の関係もいろいろありますが、米をつくればそれ以上の経費が出ていくというのが実態でありまして、米作だけでは御飯は食べられないと、本当に生活ができる農業というのは、ほど遠い状況にあるのが現状ではなかろうかと思います。  そういう意味で、熊本市も非常に厳しい財政状況であるわけでありますから、効率的な税金の使い方、やはり集中的に整備をするところは整備をするというような考え方が必要ではなかろうかと思います。国の政策にかかわる問題でありますから、熊本市独自でできるというものは限られているかも知れませんけれども、もっと農業に従事されている方々の声に耳を傾けながら、これからの農業に関する事業を進めていただきたいと思うわけであります。  また、食肉センターの問題は、私もここで数度にわたって質問をしてきた問題でもございます。また多くの議員からも御指摘をされた事柄でもございます。お聞きしますと大体、利用業者の方、それとそこに働いている方、それぞれ話がつきつつあるということでありまして、二、三年後には廃止をするということでもありますから、そういった考え方に基づいて、食肉センターそのものについての取り組みを進められ、その上で特にこれはしつこくなるかもしれませんけれども、そこで働いておられる方の雇用不安、また生活不安が生じないように、十分な対応を改めてお願いをしてまいりたいと思います。  次に、環境問題について、地下水の保全、温暖化対策、ごみ問題などについてお尋ねをいたします。  本市は、皆さんも御承知のように、昭和47年10月に森の都都市宣言に関する決議をし、緑と水の保全・回復に努め都市環境づくりに邁進することを誓い、昭和51年には地下水保全都市宣言に関する決議をし、自然環境の回復、保全を図り、貴重な水資源を後世まで守り伝えていくことを誓ったわけであります。また、平成7年9月には、美しい豊かなふるさとの環境を守り育て、これを次の世代に引き継いでいくことを誓いながら、環境保全都市とすることを宣言いたしました。  そのような経緯の中で、本市における環境保全に向けた取り組みは、平成5年3月に策定された環境総合計画、また平成13年3月に策定され、平成17年に見直しが行われた第2次環境総合計画をもとに、環境保全に向け事業が進められてきたわけであります。しかし、各宣言や環境保全計画などをもとにした水や緑の保全、地球温暖化防止、大気の保全、ごみ減量、リサイクルの推進などの事業は、私たちが思っていたような成果が上がらず、その目標達成にはほど遠い状況にあると言わざるを得ません。  そこで、まず地下水の保全についてお尋ねをいたします。私たちにとって命の水ともいえる地下水は、阿蘇外輪山麓の森林地帯や、それに連なる益城台地や菊池台地等の田畑で涵養された地下水でまかなわれているわけであります。その中でも全体の約半分を占める地下水が、水田からの涵養とのことでございます。しかし、その涵養効果が高い水田は、転作の拡大や都市化の進展などによって、地下水の長期的な減少に拍車をかけているわけであります。  地下水の減少傾向は、地下水位と湧水量に如実にあらわれております。水前寺の地下水は昭和62年から平成18年までの19年間で、7.11メートルから6.88メートル、23センチほど下がっております。また、戸島の地下水は25.12メートルから23.01メートルとなっており、2.11メートル下がっているわけであります。また、江津湖の湧水量を平成4年と平成18年で比較しますと、1日当たり43.7万トンから37.7万トンとなっており、6万トンと大幅に減少しているわけであります。  今申し上げましたように、地下水の減少傾向は明確にデータとして出ており、平成16年度に県市共同で実施された地下水の将来の予測においても、地下水の大幅な減少が示されており、一部の地域では井戸枯れが発生すると指摘されております。  さらには、都市化の進展により、今まで地下に浸透していた雨水が側溝や水路等からあふれ出し、都市型水害の一因にもなっており、開発等を行う場合、雨水の地下浸透が妨げられることから、当然雨水浸透施設を設置するなど、その代替措置が必要となっているわけであります。  また、本市の地下水の採取量についても、最も多かった昭和59年度と平成17年度を比較しますと、約1億5,600万トンから約1億1,200万トンになっており、約4,400万トンと大幅に減少しておりますが、市民が使用する上水道の採取量はほとんど変わらない状況となっております。  平成15年度の市民一人一日当たりの生活用水使用量は246リットルで、九州主要都市の平均値である224リットルと比較すると、22リットルも多い状態であることから、今後市民一人一人がこれまで以上に節水の努力をすることによって、地下水採取量の削減を図っていかなければならないわけであります。また、地下水の採取量を削減する有効な方策としての雨水の有効利用も、さらに取り組みを強めていかなければなりません。このような厳しい状況の中で、水道水源を地下水に依存しなければならない本市としては、地下水の保全について、節水対策や涵養対策についての目標値を定め、将来にわたって最優先課題として取り組まなければならない問題だと思うわけであります。  そこで、お伺いをいたします。現在の節水対策や涵養対策と、今後の事業展開について、数値目標や実績を交えてお聞かせいただきたいと思います。  次に、温暖化対策についてお尋ねをいたします。御承知のように、7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)を目前にして、温暖化問題はクローズアップされている感があるわけであります。本会議においても、先だっての落水議員の質問への答弁の中で、政府が6月をめどに選定する環境モデル都市に立候補することを明らかにされております。これまでもいろいろと述べてまいりましたように、本市はさまざまな環境事業を展開されてまいりましたが、温暖化対策についても積極的に事業を進めて来られたわけであります。  しかし、その状況を見ると温室効果ガスの排出量削減目標値については、平成2年度比で平成22年度までに6%削減するという目標に対し、平成17年度実績では5.9%の増加になっており、現状では目標達成は大変難しくなっているわけであります。  国についても、平成18年度の速報値で、温室効果ガスを6%削減するという目標値に対し、6.4%の増加になっているわけであります。京都議定書における第一約束期間が、本年から始まることもあって大変厳しい状況になっており、先ほど申し上げました環境モデル都市の選定など、さまざまな取り組みが計画されているようであります。  また、国においてはさまざまな国際会議の場で、2050年度までには世界全体の温室効果ガスを半減するということを提唱していますが、29日の熊日の社説では、この目標達成における東京工大と国立環境研究所のグループの試算として、日本は実に最大85%の大幅な削減を果たさなければならないということでございました。  皆さんも御承知のとおり、温暖化対策は国レベルだけで対応できるものではありませんし、地域においては行政はもちろんのこと、市民、事業者による取り組み、まさに私たちの生活そのものを見直していかなければならない大変重要な問題でもあるわけであります。市民、事業者における温暖化に向けた取り組みは、地域においてはさまざまな環境保全の面で連鎖をしていますが、例えば節水一つを取り上げても、その節水行動は各世帯への給水エネルギーの削減につながるだけでなく、熊本の地下水の保全にも大きく貢献することになるわけであります。  また、本市の温室効果ガス排出量の30%を占める運輸部門においても、その削減を進めれば、近年問題となっています光化学スモッグの発生の原因となっています自動車の排気ガスも抑制でき、大気の保全にもつながるものと思われるわけであります。本市の温暖化対策は、担当局の事業だけではなく、これまでも全庁的に取り組まれてまいりましたが、今後一層の温暖化対策が求められていると思います。  そこで、お尋ねをいたします。これまで述べてまいりましたように、温暖化対策は私たちの未来を見据えた何よりも重要な問題であります。そういう意味からも、これから進められる各事業の新たな目標値の設定や、目標達成に向けどのように取り組みを進められていくのか、また、そのために今後どのような市民啓発事業を進めていかれるのか、その具体的な取り組みについてお尋ねいたします。  最後に、私見ではありますが、熊本市は現在約67万人で、約27万世帯となっているわけであります。現在進められていますCO2ダイエットクラブの会員を、町内会組織で言えば隣保組に一人程度まで広げられてはいかがでしょう。皆さん方の努力等もあって、こういった事業が進められているということを念頭におくとすれば、こういったことを私たち自身が考えていく状況にあるのではないかと思っています。以上、3点についてお尋ねをいたします。  次に、大気汚染対策についてお尋ねをいたします。平成18年6月に熊本では初めてとなる光化学スモッグ注意報が本市に発令され、大騒ぎとなりました。皆さんも御記憶にあるかと思います。昨年は本市では注意報の発令はなかったようでありますが、熊本県内では天草地方で発令されたと聞いております。大気汚染は人の健康に甚大な影響を与えるなど予断を許さないものがございます。  ここ10年間の熊本市の大気汚染の環境基準達成度を見ますと、環境基準を達成できていない項目が一部あるようです。特に光化学スモッグの主成分である光化学オキシダントについては、ほぼ全市域で未達成となっています。また、ぜんそくなどの呼吸器疾患の原因となる浮遊粒子状物質についても、一部の地域で達成できていないようでございます。これらの大気汚染物質は主に自動車の排気ガス中に含まれております。また、排気ガス中には、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が多量に含まれていることは皆さん御承知のとおりでございます。  したがって、本市において自動車排気ガス対策を進めることは、大気汚染防止の観点だけではなく、地球温暖化の観点からも大事なことではないでしょうか。つまり、自動車使用時にできるだけガソリンの消費量を少なくすれば、大気汚染物質ばかりでなく、二酸化炭素の排出量の削減にもつながるわけでございます。一人一人は小さくても多くの市民や事業者が、ガソリンをできるだけ消費しないように努めれば、地球温暖化防止につながるものと思われます。  そこでお尋ねをいたします。今後、本市の大気汚染対策の取り組み、さらには大気汚染の大きな原因となっている自動車排気ガス対策について、どのように取り組まれていくのか、関係局長にお尋ねをいたします。  次に、ごみ減量問題についてお尋ねいたします。本市では、これまでごみ減量・リサイクル推進基本計画に基づいて、平成22年までに家庭ごみの20%削減を目標値として、リサイクル率の引き上げなどのごみ減量に向けた事業が展開をされてまいりました。しかし、事業の状況を見てみますと、ごみの量は減量の傾向にはあるようですが、目標値にほど遠い状況にあるようであります。  例えば、家庭ごみの一人一日当たりの排出量について、平成14年度の644グラムを基準年、平成22年度の504グラムを目標年として現在取り組みが進められているわけでありますが、平成18年度は619グラムで、基準年度比は2.8%という状況になっています。そのような中で、平成18年度にはごみの有料化について議会でも審議が行われましたが、さらにごみの減量化に努めるべきとの判断で、有料化には至りませんでした。それ以降、ごみの減量化やそのための啓発活動が、市政だより、広報特別番組、テレビCMなどを通じて行われていますが、その結果としての減量実績は5%程度となっているわけであります。目標達成にはかなりかなり難しい状況にあるようであります。  そこでお尋ねをいたします。これから、ごみ減量・リサイクルの推進に向けてどのように取り組みを進めていかれるお考えなのか。また、ごみ減量に向けての取り組みは、当然のことながら重要な問題でありますが、周辺の状況を考えるときに、ごみの有料化に踏み切る時期にきているものと思われますが、いかがお考えでしょうか。関係局長にお尋ねをいたします。  次に、旧扇田埋立処分場利活用調査経費400万円が計上されていますが、跡地の活用についてお尋ねをいたします。  跡地の活用の問題は、扇田埋立処分場が運用を開始される際に、地元を初め関係者などにより活用計画が考えられて、平成元年から19年まで整備が進められてきたものと思われますが、これまでの整備状況について御説明をいただきたいと思います。今回は、第2次の整備となりますが、その内容についてお聞かせください。          〔宗村收環境保全局長 登壇〕 ◎宗村收 環境保全局長  環境問題に対する5点の御質問にお答えいたします。  まず、1点目の、本市の地下水保全につきましては、平成16年3月に策定いたしました地下水量保全プランにおいて、目標年次である平成20年度の目標値として、節水では市民一人一日当たり生活用水使用量の10%削減、また、涵養では、地下水涵養量の増加量を年間3,000万トンと、それぞれの目標値を掲げさまざまな事業に取り組んでいるところでございます。  まず、節水対策でございますが、平成17年度から3年間、節水社会実験を実施してまいりましたが、平成19年度の結果は、目標の10%削減には及びませんものの、約7%の削減となっております。これは市民の節水意識が向上し、節水行動へ結びついた結果であると考えておりますが、平成20年度以降も、目標達成に向けた新たな節水市民運動を展開してまいることといたしております。  また、雨水の有効利用による節水対策といたしまして、市施設等の新築の際には、雨水貯留槽の設置を積極的に進めており、これまで必由館高校など36施設への設置をいたしております。さらに、市民に対しては浄化槽の雨水貯留槽への転用や、雨水貯留タンク設置に対しまして助成を行っているところでございます。  次に、涵養対策でございますが、水源涵養林の整備につきましては、整備計画に基づき涵養効果の高い広葉樹を中心とした涵養林を整備いたしておりまして、平成19年度末における管理面積は656ヘクタールとなっております。  また、水田湛水による平成19年度の涵養量は1,206万トンで、同年度の目標値である2,400万トンには達成してない状況でございます。今後は白川中流域の農家や、水田活用にかかる協議会等とのさらなる連携を図りながら、効果的な方策等につきましても協議を進めてまいりたいと考えております。  さらに、昨年12月に改正しました地下水保全条例におきまして地下水涵養を促進するための一つの手段といたしまして、建築や開発を行う際には雨水浸透施設の設置を義務化したところでございますが、仮に、平成18年度に本市域で新、増築された住宅等、約3,000件に雨水浸透施設の設置をした場合で試算いたしますと、涵養量は年間約30万トンと推計されるところでございます。  いずれにいたしましても、市民の貴重な財産である地下水を次世代に引き継ぐために、市民協働のもと地下水保全条例の着実な推進や、県及び熊本地域の市町村との広域的連携の強化を図りながら、地下水保全に取り組んでまいりたいと考えております。
     次に、2点目の、本市における温暖化対策についてお答えいたします。  本市における温暖化対策につきましては、第2次環境総合計画において具体的目標値を設定し、取り組んでいるところでございますが、御指摘のように温室効果ガス排出量削減など、現時点では目標達成には至っておりません。そこで、今後の温暖化対策といたしましては、現在策定を進めております第6次総合計画において、持続可能な社会づくりの方向性を示しますとともに、平成23年度からの第3次環境総合計画におきましては、長期的目標等を示しながら、具体的な事業を進めてまいりたいと考えております。  次に、今後の市民啓発でございますが、地球温暖化防止を初めとする環境問題の解決に当たりましては、行政が率先して取り組んでまいることは当然でございますが、市民一人一人が環境保全の必要性を理解し、たとえ小さなことであっても一人でも多くの市民の実践的な取り組みが重要であると考えております。それを踏まえ、本市はこれまでもさまざまな啓発事業に取り組んでまいりましたが、特に平成19年度は新たな事業といたしまして、地球温暖化の現状や本市を取り巻く環境の状況、さらには省エネ等に向けた実践方法の紹介などを通して、市民の方々に温暖化防止への理解を深めていただくことを目的に、市内16カ所の地域に出向き、市民説明会を行ったところでございます。平成20年度におきましても、内容のさらなる充実を図り継続してまいりたいと考えております。  また、現在、事業者を対象に取り組みを進めております、環境に優しい店「よかエコショップ」の認定制度を、現行のごみ減量・リサイクル推進を中心としたものから、環境全般を対象とした小売店や飲食店なども対象とする制度へと見直すことといたしております。今後はこの取り組みによって、事業者のみならず、過剰包装等への配慮ができる環境に優しい消費者の育成にも、努めてまいりたいと考えております。  さらに、CO2ダイエットクラブのさらなる会員拡大に関しましては、これまで学習会や出前講座の開催などにおいて、会員の拡大を図ってまいり、現在まで登録者数は約950名でございますが、今後は家庭における省エネ、省資源の実践取り組みの普及を目指し、さらなる会員拡大に努めてまいらねばならないと考えております。  そこで、今後も地域へ出向いての学習会を初め、あらゆる機会を通して積極的に周知してまいりますとともに、来年度は家庭や地域などを対象として、省エネ、省資源の実践的な取り組みを競う「CO2ダイエットコンテスト」も新たに計画しておりますので、そのコンテストへの地域ぐるみでの参加を働きかけるなど、会員のさらなる拡大に努めてまいりたいと考えております。  次に、3点目の大気汚染対策と自動車排気ガス対策についてお答えいたします。  本市の大気汚染の状況を示す大気環境基準達成率は、ここ数年70%台を推移いたしておりますが、その中の1項目でございます光化学オキシダントにつきましては、御指摘のとおり例年環境基準を達成できていない状況であり、これは全国的な傾向でございまして、一般大気を測定する全国の1,145測定局の中でも1局のみの達成となっており、その対策は全国的な課題となっております。  また、本市の大気汚染にかかる1項目でございます、浮遊粒子状物質でございますが、この主な原因である自動車の排気ガスへの対策は、大気環境の保全上重要な課題となっております。そこで、議員御案内のように、可能な限り自動車の利用を抑制し、ガソリンなど燃料の消費量を少なくすることは、自動車排気ガス対策として有効な手段でございますことから、公共交通機関の利用促進に向けたノーマイカーデーの実施による啓発や、環境に優しい運転手法であるエコドライブの普及を図るため、今年度からリーフレットを作成して市民、事業者に配布したほか、11月のエコドライブ推進月間には、エコドライブ講習会を開催したところでございます。  また、市の率先活動といたしまして、ハイブリッド車等の低公害車の導入や市の事務事業に伴う公用車の利用を減らすため、公用自転車の導入にも取り組んでまいったところでございます。さらに、温暖化対策にも有効な手段の一つであり、大気汚染物質の排出量が少ないバイオディーゼル燃料の公用車への利用につきましても、ごみ収集車による実験使用を行うなどの検討を進めてきたところでございます。  いずれにしましても、今後ともこれらの取り組みを進めてまいりますとともに、ホームページ等を活用した大気汚染に関する情報提供を積極的に行い、大気保全及び温暖化防止に努めてまいりたいと考えております。  次に、4点目のごみ減量・リサイクルと家庭ごみの有料化についてお答えいたします。  本市では、平成16年3月にごみ減量・リサイクル推進基本計画を策定し、市民、事業者、行政の協働により60項目もの取り組みを進めながら、家庭ごみ20%の減量を達成することを目標として掲げたところでございます。現在は、減量のための地域説明会や、各種媒体による広報などの啓発活動に重点をおいた取り組みを進めているところでございますが、議員から御指摘がありましたように、現在の減量の実績は5%程度であり、平成22年度の目標値達成には厳しい状況にございます。  このような中、今後のごみ減量・リサイクル施策の展開に当たりましては、持続可能な循環型社会の構築に向け、これまで取り組んでおりました啓発活動に加え、さらなる分別によるリサイクル品目の拡大など、総合的な施策を講じてまいる必要があると考えております。  お尋ねにありました家庭ごみの有料化につきましても、先日、落水議員の御質問にもお答えしましたように、基本計画に掲げるごみ減量の目標値を達成するための効果的な手法として位置づけているところでございまして、改めて具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。  最後に、5点目の旧扇田埋立処分場の跡地利用についてお答えいたします。  まず、これまでの整備状況でございますが、埋立処分場の周辺地域の環境整備を目的として、ゲートボール場などのグラウンド整備、公民館、体育館の建設補助及び道路、側溝の維持補修などを継続的に行ってきたところでございます。  次に、今後の跡地利用でございますが、旧扇田埋立処分場は昭和59年より供用を開始し、埋め立てを行ってまいりましたが、本年度をもって埋め立てが完了いたしますことから、その跡地利用について、利活用をどのように図っていくかを検討していかなければならないと考えております。そこで、昨年12月に庁内関係各課による扇田環境センター旧処分場跡地利活用検討委員会を立ち上げ、その利活用について検討を開始したところでございます。今後は、このような庁内での取り組みを進めてまいりますとともに、市民や地元住民の皆様の御意見を十分に踏まえながら、扇田環境センターの周辺環境に最も適した利活用案について、検討を行ってまいりたいと考えております。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  環境問題は、皆様が新聞を見られますと、どこかに必ず載っているというぐらいに、大きな問題になっているわけであります。学者によれば人類の滅亡につながるということでもございます。しかし、この一つ一つを解決していくためには、行政がすればできるということではないことも重々わかっておりまして、私たち市民が生活を見直し、その中で環境そのものを守っていくという取り組みからスタートするのではないかと思っています。これが一番難しいことではありますけれども、そういう意味では啓発そのものが今後の事業の主体になるのかなと思います。こういった問題についても担当局を初め、全庁的な取り組みをお願いいたしたいと思います。  扇田の埋立地の問題は、私どもが考えるときに、東部環境工場周辺の整備が頭に浮かんでまいります。先だっては東部環境工場の裏に交流センター、これはすばらしいものができまして、これは工場をつくったときの約束ということでございました。それと以前からありました野球場、香りの森、あわせてその隣には今植木市が行われています環境保全局管理の土地があるわけであります。迷惑施設が今や地域の方々の憩いの場ということで、非常に喜ばれている施設、またスポーツの施設にもなっているわけであります。  このことを考えますと、扇田の埋立地についても、以前から当然考えてこられてもよかった施設ではないかと思います。しかし、皆さんお聞きになりましたように、ゲートボール場、道路、公民館、体育館、そういった地域の方々の生活環境整備にとどまっているということでもあります。  この間私も、こういう質問をするということで、埋立場に行ってまいりましたけれども、野球場も整備がされているかどうかわからないような、いつ利用されたかわからないような状況でありました。私はこの際、扇田埋立場そのものを今後整備していこうということであれば、その周辺の状況も十分考えた上で、整備計画に盛り込んでいく必要があるのではないかと思います。  皆さん御承知のとおり、扇田の上の方には小萩園のところに森林学習館がございます。それと下の方に来ますとフードパルがございます。また、その下には保健大学がありまして、手前の方には崇城大学があります。そして山手の方へ行きますと瑞巌寺公園がございます。既に環境や経済的な施設、またはいろんな要素に恵まれている場所であるわけであります。そういう状況の中にあって、福祉、経済、環境、教育、そういったもろもろの観点から、この扇田の埋立地の跡地についてどのように整備をしていくのかということを考えることが、地域の活性化にもつながっていくものだと思います。ただ単に整備をすればいいという代物ではないと思います。そのことを十分考えて検討したいということでもありますので、今後の整備計画を期待いたしたいと思います。  次に、教育問題についてお尋ねをいたします。  去る2月15日に、文部科学省は学習内容などを示した小中学校の学習指導要領改正案を公表いたしました。今回の改正案は、皆様御承知のとおり約30年間続いた減らす改定から、ふやす改定に転じ、これまでのゆとり教育路線が完全に転換されたとのことであります。  そしてその内容は、1つ目には、生きる力の理念を継承し、それを支える確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和を重視。2つ目には、知的活動やコミュニケーションの基盤となる言語活動を重視。さらには、3つ目として、授業時間をふやし、特に理数教育を重視。4つ目には、伝統文化や文化に関する教育を重視。5つ目として、道徳は教科化しないが、学校全体を通して教育を行う、そのような内容になっているわけであります。  また、実施については、小学校が2011年度、中学校が2012年度から完全実施の予定とのことであります。この背景には教育基本法の改正、さらには経済協力開発機構(OECD)の国際学力調査で、日本の15歳児の読解力平均点が、OECD内でのランクで大幅に下がったことにあるようでございます。このような教育路線転換は、子供たちはもとより先生方にとっても、これまで以上に負担がふえることになるものと思われるわけであります。このことについてどのように認識されているのか、教育委員長にお聞かせいただきたいと思います。          〔黒澤和教育委員会委員長 登壇〕 ◎黒澤和 教育委員会委員長  学習指導要領改正に伴う教育路線転換に対する認識について、田辺議員のお尋ねにお答えいたします。  議員が述べられましたように、これまでの教育改革の背景につきましては、教育基本法の改正や国際学力調査の結果もございますが、私は1990年代半ばから顕著になっている、知識基盤社会の時代などと言われます社会の構造的な変化が挙げられるかと存じます。瞬時に国境を越えてグローバル化する知識、競争と技術革新の進展に伴い、日進月歩する知識があふれる中、私たちは幅広い知識と柔軟な思考に基づく判断力が求められております。同時に、異なる文化や歴史を持つ人々と共存、協力する心が今重要になっているのであります。  次代を担う子供たちには、そのような心や力がますます求められているわけでありますし、そのような観点から、今回の生きる力をはぐくむという理念が継承され、その実現に必要な授業時間数の確保を初め、新たな教育課程の枠組みが整備され、学習指導要領案として示されたものと認識いたしております。  また、現代の子供たちには、実社会の中で生きていくといった生活感が不足している傾向がありますので、私はもっと生活とのつながりの中で体験的に学んだり、他者との切磋琢磨を通して、自分への自信を持たせたりすることが重要であると考えます。  いずれにいたしましても、教育は国家百年の計であると申しますように、その効果は一朝一夕にあらわれるものではありません。先生方には、日々の教育にじっくりと取り組んでいただくことが重要でありますし、そのことが子供たちの徳・知・体の調和のとれた人格形成につながるものと考えております。  このような意味からも、議員御指摘のとおり、子供たちや先生方の負担感を増すようなことにならないよう、条件整備を進めることは必要であります。新学習指導要領の完全実施までには、そのための移行期間が設けられておりますので、今後、本市教育委員会といたしましても、その円滑な実施に向けての準備と学校現場への支援を行ってまいりたいと存じます。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  指導要領の改訂については、いろいろと皆さん方、お考えもありますしコメントもあろうかと思いますけれども、ただ先ほど申し上げましたように、子供たちや現場の先生方に対する負担は、この指導要領の大きな転換という中で、私たちの想像に絶するようなものもあるのではないか思います。  そういった意味で、今教育委員長の方から、準備期間の間にそういった部分については整備を図るというお話でありましたし、そのことをやっぱり我々としては十分受けとめながら、今後の対応を見守りたいと思います。  次に、教育問題について引き続き質問をいたしたいと思います。  私は、前回の質問でも、学校での先生方の置かれている状況として、職員会議以外の会議、部活動、PTA関連の業務に追われ、教材研究、授業準備や児童・生徒との触れ合いのための時間が十分に取れない、休憩・休息も十分に取れない、休暇も取れないという状況で、過度の持ち帰り仕事をしながら、よく眠れず、いらいらや不安を感じながらなかなか病院にも行けないという、アンケート調査の結果を御紹介し、職場環境の改善を求めてきたわけであります。  そのような中で、昨年暮れに、文部科学省の調査として2006年度に病気で休職した公立の小中高校などの教職員が、前年度より638人ふえて7,655人にのぼり、このうちうつ病など精神性疾患による休職が61%を占める4,675人で、前年度に比べ497人ふえているとのことでありました。また、九州・山口においても、精神性疾患による教職員の休職者は634人で、前年度に比べ72人ふえているとのことでありました。熊本県は福岡県の144人に続いて94人と、2番目に多い県となっていました。  このような状況について、文部科学省は、「仕事の多忙化と複雑化に加え、保護者や同僚との人間関係など職場関係が厳しくなっていることが背景にあり、対策を急ぎたい」とのことでありました。先ほど述べましたように、学習指導要領改正などともあわせて考えてみますと、さらに職場環境は厳しくなるものと思われます。さきの答弁では、学校現場で不登校の問題や、保護者との対応など、教員に求められているものが増大しており、教職員が多忙感や不安感を抱いていることは認識している。カウンセリングや専門医での受診等早期対応ができるように努めているとのことでありました。  そこでお尋ねをいたします。今回の予算では、個をはぐくむ学校教育の推進として、中学校での少人数学級・少人数指導に関する検討委員会の設置、教員の指導力向上を図るための授業力向上支援員に638万円、教育活動が困難な状況にある学級に派遣する学級支援員の増員に3,029万円、このほか、いじめ・不登校対策経費として2,686万円などが計上されています。特に、学級支援員は増員されているようでありますが、まだまだ十分に学校現場からの要請にこたえることができない状況にあるとお聞きしております。  これに加えて、先ほど述べましたように、学校では教育路線が大きく転換する中で、さらに教わる側、教える側にとって負担がふえることが予想され、職場環境が悪化する中で、これまでも指摘されている業務の多忙化への対策について、どのように考えておられるのかお伺いをいたします。          〔小牧幸治教育長 登壇〕 ◎小牧幸治 教育長  教育の職場環境悪化への対応策についてのお尋ねにお答えをいたします。  教育委員会では、これまでも多忙化改善策の一つとしまして、時間外勤務の縮減等に取り組んでおりまして、具体的には定時退勤推進日の設定と、年次有給休暇取得の推進に努めているところでございます。定時退勤推進日につきましては、今年度当初約8割の学校で設定をされておりまして、前年度に比べまして約3割の増となっているところでございます。  また、年次有給休暇の取得日数は、平成18年度は13.7日でございまして、前年度に比べまして0.3ポイントではありますが微増となっております。これからも、学校・幼稚園安全衛生委員会の啓発活動を強化いたしまして、職員一人一人の意識改善を図り、定時退勤推進日の完全設定、また、年次有給休暇の取得目標値15日の達成に引き続き取り組んでまいります。  また、本年度から、中学校の教頭が受け持っておりました授業について、非常勤講師を配置する事業を開始いたしました。これは多様化、複雑化する学校課題に、教頭を専念させ、それによりまして教職員全体の業務負担の改善を目指すものでございます。実施1年目ではございますが、ほとんどの教頭からは職員とじっくりコミュニケーションを図ることができるようになった。職員の健康状態等をより把握することができるようになったなどの報告を受けております。  また、教職員の増員につきましても、全国都市教育長協議会等を通しまして、国に働きかけを行いますとともに、県に対しましても強く要望をしているところでございます。  なお、教職員の多忙化の要因の一つとなっております保護者対応、とりわけ理不尽な要求への対応といたしまして、今議会に学校問題対応相談員経費を計上いたしております。これは精神科医を教育センターに配置をいたしまして、解決困難なクレーム等への対処方法の助言を行い、問題のスムーズな解決を図るものでございます。  さらに、学校現場におきましては、校長や教頭が教職員に対しまして、日常的に目配り、気配りを行い、相談しやすい風通しのよい職場をつくることが、何よりも労働時間の短縮、精神的負担の軽減につながると考えておりますので、校長・園長会などあらゆる機会を通しまして、指導してまいりたいと考えております。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  学校の現場は、私たちが考える以上に多くの問題を抱えていると思います。そういう中で、私も教育現場の問題については、数回この場で意見を申し上げましたけれども、物理的に解決できる問題もあるのではないかと思います。小学校でも、今専科の先生がふえているようでありますけれども、これもマスコミで報道されていましたように、学校の先生は理科が苦手、国語が苦手、やっぱり苦手な教科があるようであります。それが負担につながっていくということでもありますし、中学校はすべて専科でございますけれども、やっぱり小学校においてもそういった専科の先生をふやしていく、そういう傾向にもあるようです。そういったことをもっと現場対応の中で考えていく必要があるのではないかと思います。  それと、保護者対応も、先ほど中学校では教頭先生あたりに対応していただけるような環境づくりをしましたということではありますけれども、これは小学校、中学校、同じような問題を抱えているわけであります。これは、一つは今の複雑な社会状況の中での出来事ということでありますし、やはりそういった中で先生方がだれにも相談できない中で、うつ病または精神的疾患にかかっていく、そして学校を休まれる、こういう悪循環になっているわけであります。そのことも今後教育委員会としても対応してまいりたいということでもありますので、今後の対応について見守りたいと思います。  次に、情報化の推進についてお尋ねをいたします。  当初予算でも、熊本県市町村電子自治体共同運営協議会負担金など、電子自治体推進経費として約1億300万円が計上されているところでありますが、お聞きするところ、熊本市は県や県内市町村と共同で汎用型の地理情報システム(GIS)の構築にとりかかっておられるようであります。これは国の事業とも歩調を合せた取り組みとのことでありますが、このGISの構築は県内で共通のシステムを利用する点、県民・市民向けの利用も考えたシステムである点から、非常に評価されているシステムであると思われます。私も、このGISについては、本市にとっても有効であり、できる限り早く導入を図るべきだと申し上げてきたこともあり、一日も早い運用を期待しているところでもあります。  このGISを活用することで、例えば災害時の情報の伝達や、意思決定が画期的にスムーズにできるようになるなど、市役所内部の情報がビジュアルに共有され、行政事務の効率化がさらに図られるようになるものと思われます。  また、行政情報を地図ベースにビジュアルでわかりやすい形で、市民や企業へ配信することによるアカウンタビリティの向上が図られることにもなります。また、市民の皆様が地図情報を作成し活用されることで、地域の活性化や産業振興の実現にも結びつくことになるわけであります。  しかし、このシステムを十分に活用するためには、運用する職員の専門的な知識も当然ながら必要となってくるわけであります。私は、そういった意味からも、これまで情報企画部の体制の拡充を長い間申し上げてまいりましたが、残念ながらまだまだ十分な状況にあるとは言えません。すなわちGISを十分に活用するためには、ある程度専門的なノウハウが必要になると思われるわけであります。また、それを適正に管理するためは、さらに高度なノウハウが求められることになります。しかも、そのノウハウを身につけるためには一定の年数が必要となるとのことです。  本市は、昭和61年3月に電算システムを導入以来、電算化が進められ、平成9年に本市の情報行政の指針として、熊本市情報化基本計画が策定されて以降、本格的にIT化が図られてまいりました。そして、多くの職員がその業務にかかわって来られたわけでありますが、その後の人事を見てみますと、その知識を生かしたものとなっていないのが現状でございます。  そこで、お尋ねをいたします。GISについては、現在どのようになっているのか、その進行状況について御説明をいただきたいと思います。また、全庁的な運用体制について、先ほど申し上げましたことも含め、汎用型GISを初め、GISを活用できる職員をどのように教育し育てようとされているのかお尋ねをいたします。          〔西島喜義企画財政局長 登壇〕 ◎西島喜義 企画財政局長  地理情報システム(GIS)構築の進行状況と、活用できる職員の育成についてお答えいたします。  汎用型GISは、県及び県内市町村と共同で、平成20年度前半の稼働を目指し、現在ソフトウエアの開発を中心に作業を進めており、今後、地図データ等の準備を行っていくこととしております。  掲載する地図としましては、導入当初、国土基本図、騒音・振動規制図、土砂災害危険区域図など、利用が多いと想定されるものを中心に整備し、現在の地図利用部署だけでなく、広く庁内の各部署での利用、また市民への提供も予定しているものでございます。その後、さらに掲載する地図をふやすとともに、現在台帳で管理している業務をGISで行うなど、活用範囲の拡充も図ってまいる所存でございますが、そのためにはこのシステムを有効に活用できる職員を養成していくことが、肝要であると考えております。  具体的には、地図上の施設等に、名称、所在地、利用概要などの属性情報を付加したり、法規制区域の変更等に伴い、掲載地図を加工、修正したり、あるいは複数の地図を組み合わせて分析、活用するなど、汎用型GISを使いこなす、より高度な利用を行う能力の向上を図る必要があります。このため、平成20年度は県や他市町村とともに、専門講師による研修を予定しており、それに加えて、庁内においても研修を計画的に実施してまいりたいと考えております。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  GISについては、国の取り組みとしますと、かなり豊富な情報があるのだそうで、3,000ぐらいの分野に分けられるのだそうです。そのうち熊本市がどれだけそれを利用するのかということでありますが、このGISそのものが県と各市町村一緒に扱うということですが、熊本市も独自で地図データをつくるということであります。この結果どうなるかといいますと、紙ベースであった情報がデータベース化されて、システムを通じながら職員の皆さん方にその情報が伝わっていくと、またそれを活用できるということになるわけです。今まで縦割りであったものが、そういうことで横の連携がかなり密になっていくということではあります。  そのことによって、熊本市の行政の中身も大きく変わってくると思いますし、効率的な行政運営ができることを十分受けとめるとすれば、このGISをもっともっと進めていく、そういう考え方に私も立つわけであります。  そういう意味では、先ほど申し上げましたように、それを運用する側の問題があります。今まで電算課から始まりまして、今情報企画部ですけれども、要は働かれた方がその後にいろんな職場に行かれて、その技術や知識が生かされるようになっているかといいますと、その仕事につかれる方はわずかである。ほとんどの方が違った仕事をされているということであります。  私どもは、電算課、情報企画部で仕事をされた方たちが、各局の中で活躍しながら、電子市役所そのものの構築に向けて取り組みを進めていくべきだと。人をふやすと言われればもっとふやすべきではないかと話をしていました。それが容易に効果をもたらすものではないかと思うわけであります。そういった視点が人事サイドになかったと断定するのは、余りに気の毒かもしれませんけれども、配慮がなかったのかなという気がするわけであります。要員をどう確保していくかという問題は、このGISをいかに効果あるものにしていくかということにもつながっていくわけでありますから、このことについて十分受けとめていただいて、人事サイドでもお考えいただきたいと思うわけであります。  次に、指定金融の問題についてお尋ねをいたします。私はこの問題については、平成17年第2回定例会で本市の対応についてお伺いをいたしました。当時の川上収入役からは、安全性、安定性、市民の利便性の面ですぐれ、総合的に判断して、現時点では地場金融機関の中では肥後銀行が妥当ではないかと考えている旨の答弁がございました。また、肥後銀行以外でもいろいろな条件をクリアできれば、受け皿になり得るとのことでもありました。現在、皆さんも御承知のとおり、県内の金融機関は金融再編等の中で大きく様変わりしているのも事実でございます。  ちなみに、日本格付け投資情報センターの格付けでは、肥後銀行と熊本ファミリー銀行は同格のAプラスとなっています。このような状況を考えたときに、地元の金融機関で、熊本市の指定金融機関としての条件をクリアするところがあれば、調査を行い検討に入るべきだと思いますが、いかがでしょうか。  そこでお尋ねをいたします。現在の金融機関を取り巻く社会経済情勢等の変化を踏まえ、指定金融機関の指定についてどのように認識をされているのかお聞かせいただきたいと思います。          〔宮崎健三会計管理者 登壇〕 ◎宮崎健三 会計管理者  指定金融についての御質問にお答えいたします。  指定金融機関の指定に当たって、まず第一に考えなくてはならないことは、市民の皆様からお預かりしました大切な税金などの公金を、安全に管理できること。また、市民の皆様の利便性が高いこと。さらには、年間の一時期、公金の残高が不足し百数十億円の当座貸し越しが発生する場合がありますが、そのような事態にも即座に対応できる資金量、体力を有していることなど総合的に考慮する必要があろうかと思います。  ただいま議員御指摘のとおり、昨年のゆうちょ銀行の誕生を初め、熊本県内の金融業界においても、地場金融機関が他県の金融機関と経営統合するなど、金融機関の生き残りをかけた大きな改革が進んでおります。また、その結果、総合的な格づけの改善が見られる金融機関もあることなど、業界が大きく変化してきていることは十分に認識しているところでございます。  今後、指定金融機関の決定にあっては、現在進んでおります大きな変化の流れを踏まえ、先ほど申し上げました安全性、安定性、利便性の確保と、他の収納代理金融機関との連絡調整能力、またそれに伴う経済負担能力を有しているか等々を、総合的かつ正確に把握し判断することが必要だと考えております。このため、引き続き金融業界を取り巻く状況や、個々の金融機関の経営状況等の把握に注意深く努めてまいります。          〔36番 田辺正信議員 登壇〕 ◆田辺正信 議員  指定金融機関については、これで2回目の質問になるわけでありますが、当時からしますと大きく社会状況が変わっている、金融機関についても環境が変わっているとの認識は一致したと思います。あと、県内を見ますと農協さんがされているところもございます。そういう意味でファミリー銀行も格づけが上がったということでもございます。  私は、そういったことを公平に行政として見ながら調査し、今の指定金融機関そのものを見直していくということも考えていただく時期にきているのだと思いますので、十分なる対応をお願いいたしたいと思います。  最後に、午前中に齊藤議員の方からもございました。重なるかもしれませんけれども、要望を述べさせていただきます。  皆さんも御承知のとおり、フードパル熊本は生活者との交流、地域農業との連携、環境への配慮などのコンセプトをもってつくられたわけであります。これはたしか三角市長のときにオープンをいたしました。そして全国的に見ても非常に評価の高い生活者交流型の工業団地として知られているわけであります。年間来場者も80万人を超えていると伺っております。熊本城も大分ふえましたけれども。しかしそれでも熊本市内の施設で80万人を超えるというのは、非常に大きな効果のある施設ではないかと思っています。  中でも、地域農産物の直売所であるとれたて市は好評を博し、先ほどの齊藤議員の話にもありましたように、年々売り上げを伸ばしているわけでもございます。そのとれたて市につきまして、これも齊藤議員がお話になりましたように、2月26日の早朝全焼してしまうという不運に見舞われたところでございます。ここに出荷されておられた方、農家の方々にとって大きな打撃であったことは言うまでもございません。現在、本市の地産地消推進室などの協力によって、隣接地に仮テントを張り営業を続けておられると伺っておりますけれども、せっかく根づいた常連客等が離れていきやしないかといった不安を多くの方が持たれているのも事実であります。私自身もこのとれたて市のフードパルへの貢献というのは、多大なものがあると思います。地域の経済にも大きな効果をもたらしているものだと思っています。  ただ、行政サイドはとれたて市を再建するという考えのようでありますけれども、設計から建築まで半年ほど最低でもかかってしまうという状況でもあるようです。ですから、行政も知恵を出し合って、半年を5カ月、4カ月に短めて、そして今まで以上の施設にしていただきたいと思います。これは、ただ単にフードパルだけの問題ではないと思いますし、地域の経済に与える影響も大きうございます。  また、これも先ほど申し上げましたように、扇田の埋立場跡地の活用も考え合せて、ぜひ今後の対応をお願いいたしたいと思うわけであります。  大体きょうは1時間程度で終わる予定で質問の準備をいたしましたけれども、その分ゆっくりしゃべらせてもらいました。御清聴いただきました同僚議員、先輩議員に心から感謝を申し上げますとともに、傍聴いただきました皆さん方に心から御礼を申し上げて、本日の私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)       ─────────────────────────── ○磯道文徳 副議長  本日の日程は、これをもって終了いたしました。  次会は明5日(水曜日)定刻に開きます。       ─────────────────────────── ○磯道文徳 副議長  では、本日はこれをもって散会いたします。                              午後 3時54分 散会 〇本日の会議に付した事件
    一、議事日程のとおり 平成20年3月4日 出席議員 48名       1番   牛 嶋   弘        2番   磯 道 文 徳       3番   紫 垣 正 仁        4番   田 中 敦 朗       5番   重 村 和 征        6番   那 須   円       7番   上 田 芳 裕        8番   前 田 憲 秀       9番   原     亨       10番   澤 田 昌 作      11番   倉 重   徹       12番   満 永 寿 博      13番   大 石 浩 文       14番   高 島 和 男      15番   田 尻 善 裕       16番   上 野 美恵子      17番   東   美千子       18番   有 馬 純 夫      19番   三 島 良 之       20番   齊 藤   聰      21番   津 田 征士郎       22番   白河部 貞 志      23番   藤 山 英 美       24番   田 中 誠 一      25番   村 上   博       26番   東   すみよ      27番   日和田 よしこ       28番   藤 岡 照 代      29番   坂 田 誠 二       30番   下 川   寛      31番   田 尻 清 輝       32番   北 口 和 皇      33番   中 松 健 児       34番   佐々木 俊 和      35番   田 尻 将 博       36番   田 辺 正 信      37番   家 入 安 弘       38番   鈴 木   弘      39番   竹 原 孝 昭       40番   古 川 泰 三      41番   税 所 史 熙       43番   落 水 清 弘      44番   江 藤 正 行       45番   主 海 偉佐雄      46番   嶋 田 幾 雄       47番   益 田 牧 子      48番   上 村 恵 一       49番   西   泰 史 説明のため出席した者   市長       幸 山 政 史    副市長      三 嶋 輝 男   副市長      森 田 弘 昭    総務局長     寺 本 敬 司   企画財政局長   西 島 喜 義    市民生活局長   原   幸代子   健康福祉局長   谷 口 博 通    環境保全局長   宗 村   收   経済振興局長   岡 本 安 博    都市建設局長   松 本 富士男   消防局長     神 原 節 生    交通事業管理者  石 田 賢 一   水道事業管理者  東   軍 三    教育委員会委員長 黒 澤   和   教育長      小 牧 幸 治    人事委員会事務局長嶋 村 早 人   代表監査委員   濱 田 清 水    農業委員会会長  森   日出輝   財務部長     岡   昭 二    会計管理者    宮 崎 健 三 職務のため出席した事務局職員   事務局長     松 本   豊    事務局次長兼議事課長                                山 田 利 博   議事課長補佐   木 村 建 仁...